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感想文

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映画、漫画、アニメ、とにかく一言書きたくなった作品を妄想を大きく羽ばたかせて徒然なるままに感想を書いたものです。
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#読書感想文

ちょっと昔の日本にはこの手の神話がありふれていたのか?「楢山節考」感想

ウバステ! 食料の乏しい集落で、姥捨が文化の一部になっている社会のお話。作者の出身地の伝承が元ネタらしい。ちょっと前の日本では当たり前のような話だったのだろうか? 残酷で不条理なはずだが、不思議と悲しさも怒りも湧いて来ない自分に逆に戦慄する。 淡々とした語り口だからだろうか、ドラマチックな湿っぽさはなく、神話、絵巻物のように乾いている。人権とか法とかのかなり手前にある摂理を感じさせる。 母親と最後の会話がしたくて来た道を駆け戻る親子愛と、掟を破って引き返し捨てた母親に話し

チェンソーマンを仮面ライダーと重ねて見ている

タツキのダークヒーロー漫画チェンソーマン。チェンソーの悪魔ポチ太と悪魔合体してチェンソー人間と化したデンジはミステリアスな美女、マキマを|口説く≪モノにする≫ため、悪魔を殺す。 アニメの放送も果たして、漫画の方も第二部が始まった。 さて、今回チェンソーマンのアニメを見ていて「これ仮面ライダーだ」と思ったので共有したい。 仮面ライダーは悪の組織によってバッタ怪人に改造された男が人々の平和を守るために孤独な闘いを続けるという話。 よりにもよってバッタの怪人である。カブトムシと

『推し、燃ゆ』は現代日本の信仰を表す?読書感想文

「高橋源一郎の飛ぶ教室」というラジオ番組がある。取り上げられる書籍は気になるのが多く、毎週楽しみにしている。そこで芥川賞受賞作として『推し、燃ゆ』が紹介された。朗読を聞いて天才だと思ったのは三島由紀夫以来だ。 出だしがすごい。「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」 元JKの主人公はアイドルの追っかけをしている。しかし、推しはファンとトラブルを起こし、ほどなく解散、引退してしまう。生活の中心であった推し活が奪われ、己を形成していた人格すら、推しを研究し理解しようと努める中で