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映画、漫画、アニメ、とにかく一言書きたくなった作品を妄想を大きく羽ばたかせて徒然なるままに感想を書いたものです。
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「ハッピーシュガーライフ」感想

歪んだ世界と歪んだ愛オープニングの時点で、物語の展開が暗示されている。残酷さに糖衣をかければチャラとでも言いたげなかわいい装飾とキラキラの輝きに時折ん?と思わせる影。 おそらく、多くの人はさとうとしおの愛に共感できないだろうが、それはまっとうな世界の住人だからである。 ハピシュガ世界の人間は多くがサイコパス思考でかなり自己中心的で残虐非道。だが、損得勘定や、相手の気持ちを汲み取っての行動(心理戦)もできるという点で狂人ではなく、まことサイコパス的人格を持っている。 公園でボコ

音楽が聞こえる漫画に音楽をあててみた、劇場版ブルージャイアント

面白いと聞いていたが、原作40巻近くある。読むのをためらっていたところ、丁度よく劇場アニメ化の報せがきたので映画館に行ってきた。 多くの視聴者がそうであるように、筆者もまたジャズに詳しい方ではない。しかし、音楽を聴くのが好きという人であれば楽しめると思う。つまり、全人類がこの映画のターゲットという事である。 物語は大(別名デカチンの大)が、雪の降りしきる冬の仙台のクソ寒い河原でサックスの練習をしている狂人エピソードから始まる。雪の吸音効果に負けない圧倒的音圧を目指してくる日

才能を持ってしまった者達の悲哀と運命。フェイブルマンズ感想

スピルバーグの自伝的映画。フェイブルマンズ(複数形になっていることに注目されたい)。幼少期から青年にかけて、彼の一家に起こったとりとめのない出来事を一本の映画にしていく。いかにして映画人スティーヴン・スピルバーグは完成したのか。その軌跡を描く。 この映画はスピルバーグ少年がカメラを回し、編集し、みんなに見せるという場面の繰り返しで進む。とりとめのない日常の出来事。映画を編集するかの如く彼の少年時の家族の生活を撮り、編集し、観客に見せる。その営みがメタ的に一本の映画になったの

ちょっと昔の日本にはこの手の神話がありふれていたのか?「楢山節考」感想

ウバステ! 食料の乏しい集落で、姥捨が文化の一部になっている社会のお話。作者の出身地の伝承が元ネタらしい。ちょっと前の日本では当たり前のような話だったのだろうか? 残酷で不条理なはずだが、不思議と悲しさも怒りも湧いて来ない自分に逆に戦慄する。 淡々とした語り口だからだろうか、ドラマチックな湿っぽさはなく、神話、絵巻物のように乾いている。人権とか法とかのかなり手前にある摂理を感じさせる。 母親と最後の会話がしたくて来た道を駆け戻る親子愛と、掟を破って引き返し捨てた母親に話し

あの頃最強だった俺たちの青春賛歌~かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない~

人は羽化した状態で生まれてくる。子供のころは自由に飛び回れる超能力者だったが、辛すぎる現実をやり過ごすために、心の内に繭を作り、いろんな物を背負いこむうちに背中が曲がり、いずれは老いて惨めに這いつくばる芋虫となり、無念の内に死ぬ。 社会性と引き換えに、飛び方を忘れる哀れな生き物。それが人間だ。 さて、『かぐや様は告らせたい』は三期アニメ化された漫画原作アニメだが、最新シリーズが特別上映として映画館で放映された。文化祭でウルトラロマンチックな初キスを遂げた白銀とかぐやだったが

チェンソーマンを仮面ライダーと重ねて見ている

タツキのダークヒーロー漫画チェンソーマン。チェンソーの悪魔ポチ太と悪魔合体してチェンソー人間と化したデンジはミステリアスな美女、マキマを|口説く≪モノにする≫ため、悪魔を殺す。 アニメの放送も果たして、漫画の方も第二部が始まった。 さて、今回チェンソーマンのアニメを見ていて「これ仮面ライダーだ」と思ったので共有したい。 仮面ライダーは悪の組織によってバッタ怪人に改造された男が人々の平和を守るために孤独な闘いを続けるという話。 よりにもよってバッタの怪人である。カブトムシと

インド版イップマン「RRR」感想

「RRR」バーフバリの監督の最新作とあっては見に行かざるを得ない。 近年、経済発展目覚ましく、もはや途上国とは言えないレベルまで成長を続けている。娯楽産業もしかり、インド映画の最高峰ともなるとハリウッドにまったく引けを取らない出来のものばかりだ。アクション、ドラマ、CG技術、なんといってもダンス。 そしてインド映画は、「RRR」で騎馬戦ガン=カタという新たなデンジャーゾーンに踏み込んでいくのだった。 時は1920年の英国統治時代。山深い村落に住む部族の虎殺しの若者ビームは、

白石の最高傑作!オカ森 お待たせしました、NEOが出ます!

白石晃士監督の最新作、オカルトの森へようこそを見てきたぜ!白石監督といえば、コメディホラー(?)の金字塔で、作品の中で全身にアルミホイルを巻きつける事や、呪いを遮蔽するビニール袋(コンビニで貰ったやつ)を常備する事を奨励し、霊体ミミズの脅威の啓蒙活動に尽力している。 ホラー映画監督黒司こと白石の元に、赤い隕石の落下を捉えた奇妙な映像が投稿されてくる。 空に一筋の赤い軌跡が伸び、隕石が落ちる。直後に背後から忍び寄る黒い塊に霊体ミミズを植え付けられてしまう・・・。 この映像を

劇場版バイオレンスアクション見てきた

みちたか君オッス! 先日公開された劇場版バイオレンスアクションを見てきた。かわいい専門学校生のケイが動いて殺す、同名原作漫画の映画化だ。 「ぷるるん天然娘特急便」一見デリヘルのホームページだが、巧妙に隠されたダミーサイトで、相応の価格で非合法な武力派遣を斡旋している。そこのトップデリバリーヒットガールが主人公のケイだ。普段は商業系の専門学校に通い簿記の勉強をしているが、ひとたび仕事となると、目にも止まらぬスピードで斬って、撃って、走って、飛び回って、瞬く間に屍の山を築き上げ

神々の山嶺 感想 名前のない衝動に駆られて

神々の山嶺見た。よく眠れた。 マロリーのカメラがとっかかりになってるが、ほとんど話に関係が無い。予告編でもミステリーが〜とか言ってるが、マジで全然関係ない。 マロリーが登頂していようがいまいが、それは単なる事実であって、マロリーを理解する事は出来ないし、お前には関係がない。 序盤の滑落シーンが怖すぎてほとんどホラー。命掛けてまでなんで、しかもより過酷な条件で山に登るのか?てっぺんの先にもまたてっぺんがあって、どんな高山も通過点でしか無い。その荒業の先に神々に至る道があるのか

映画ゆるキャン△感想 四の五の言わずまずは劇場に来い

映画ゆるキャン△を見てきたぜ。その日、劇場はコッテリした同類に包まれた。 名古屋のタウンペーパーを発行する出版社に勤務するリンちゃんは、大垣に飲みに誘われホイホイとついて行ってしまう。 初めは「苦手なんだよな」と言っていた千明を『アキ』呼び、からのサシ飲みやるまでに打ち解けていてまず涙だよね。 劇中で「二代目グビ姉」を襲名した大垣は名古屋コーチンの手羽揚げを豪快に頬張りスーパードライで流し込みつつ、ある相談を持ち掛けた。 山梨の地域振興課に転職した大垣は、リンちゃんにキャ

ベイビーブローカー感想 見る前に韓国の赤ちゃんポストについて知っておいたほうがいい

ベイビーブローカー見てきた。『パラサイト』のソンさんと『万引き家族』の是枝監督のタッグ。これだけで見ない理由はないな。 赤ちゃんポストに投函された赤ちゃんを、非正規の手段で横流しして養子縁組仲介料をせしめるセコイ男たちが主人公。 そこに、一度は捨てたがどういう心境の変化か、赤ちゃんを迎えに来た母親がやって来る。育てる自信はない、しかし、赤ちゃんは心配だ、養子縁組でいい家に引き取られて金が貰えるんだったらそれが一番いい。 そんな利害の一致から、男たちと若い母親は里親探しの旅に

トップガン・マヴェリック感想

トップガンマヴェリックの時間だコラ! 逆噴射先生の記事を読んでこれは観に行かないと思い立ったわけだ。 https://diehardtales.com/n/n80cb43d76ce8 超極音速戦闘機のテストパイロットとして未だ現役で乗り続けてるトム。なんとかマッハ10を達成するも、これからは無人AIの時代だからとクビを言い渡される。途方に暮れる間も無く、超偉くなった同期の半ばゴリ押しで、超絶難度ミッションの教官に抜擢された。 対空ミサイルを掻い潜り、超Gに潰されながら、

シン・ウルトラマン 感想

シン・ウルトラマンめちゃくちゃ面白かった。けど、万人にオススメできる作品では無いwウルトラマンある程度見てて、洒落が通じる人には刺さると思うけど・・・。 ウルトラQで始まるの最高だな。初めはウルトラマン抜きで頑張るんだけど、大人(上位者)の都合でウルトラマンが出てこざるを得なくなる。この辺のメタ含んだ脚本は特撮の歴史を踏まえた物だろうかw? ウルトラシリーズ特有の構図に紛れて、エヴァとか庵野作品を思い出させるシーンが埋め込まれており観客を飽きさせない。特撮のパロのセルフパロ