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Renaissance(再生)

母ちゃんは両足を踏ん張り 
父ちゃんの腕にしがみついてた
真夜中の産室 おまえは産声あげた 
小さなぬくもりを 俺たちは胸に抱いた
みんな泣きながら生まれてくる 
そして泣きながら生まれ変わる
涙を流して眠り目覚めるたびに 
何度も何度でも生まれ変わる

母ちゃんの子守唄は優しく歌い 
父ちゃんの肩車はとても高く
穏やかな日々は だけどどこか物足りなくて 
おまえはドアを開けて ひとり歩きを始める
みんなひとりで生まれてくる 
そしてひとりで生まれ変わる
転んで倒れてひとり立ち上がるたびに 
何度も何度でも生まれ変わる

母ちゃんのため息は風に消され 
父ちゃんの怒鳴る声も言葉にならず
確かに言えることは たったひとつだけ
傷つくことでしか わからないことがある
みんな裸で生まれてくる 
そして裸で生まれ変わる
剝き出しの体と心ぶつけあうたびに 
何度も何度でも生まれ変わる

母ちゃんはしわくちゃの婆ちゃんになり
父ちゃんはよれよれの爺ちゃんになる
おまえに望むことは たったひとつだけ
ひとりでいいから 誰かを本気で愛せ
みんなつながって生まれてくる 
そしてつながって生まれ変わる
小さなぬくもりを胸に抱くたびに 
何度も何度でも生まれ変わる
何度も何度でも生まれ変わる

*子供が生まれた時に作った歌です。タイトルのRenaissanceはフランス語で「再生」という意味。「誕生」を意味するnaissanceという名詞に、「再び」を意味する接頭辞のReがくっついて成立した言葉ですね。英語でいうところのRebirthやRebornにあたります。

世界史で「ルネサンス」といえば、14世紀から16世紀にかけてヨーロッパで起こった文化運動を指します。古代ギリシャ・ローマ文化の復興を掲げたルネサンスの動きは、イタリアから始まってヨーロッパ全土に広がり、宗教の力が圧倒的に強かった中世文化に対して、人間中心主義(ヒューマニズム)を軸として、レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロ、ボッティチェリ、ダンテ、マキャベリ、モンテーニュなどなど、多くの芸術家や思想家を輩出し、結果的にそれが「近代」の幕開けへとつながっていったのです。古典文化の見直しが新たな時代のうねりを生み出す原動力になった、というのは興味深い歴史の逆説だと言えるでしょう。

子供の誕生は、親にとっての「再生」なのだと思います。新たな命の誕生と向き合うことが、自分自身の生を捉え直す契機となり得るからです。そうして生まれた子供もまた、成長の過程で、さまざまな「再生」を繰り返しながら、新たな生をつないでいくことになるのでしょう。

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