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Nice To Meet You

毎日会って話してたなんて 嘘みたいだね 夢みたいだね
明日からもう会えないなんて 嘘みたいだけど本当なんだ

あんなにも逃げ出したいと思ってた場所が
こんなにも愛おしく思えるなんて

Nice to meet you 君に会えて良かった
Nice to meet you ここで会えて良かった

精一杯 君は背伸びをしてたね 僕の肩につかまりながら
いつのまにか僕を追い越して 君の瞳は遠くを見てた

野に咲く花が鮮やかに目に映るのは
雪の重さが大地をあたためたから

Nice to meet you 君に会えて良かった
Nice to meet you ここで会えて良かった

いつか もいちど 君と出会った時
胸張って笑える自分でいたい
どこかで もいちど 君と出会った時
まっすぐ君と向き合えるように

僕は旅立つ 君のいない場所へ 誰かが僕を求めてる場所へ
君は旅立つ 僕のいない場所へ 誰かが君を待ってる場所へ

Nice to meet you 君に会えて良かった
Nice to meet you ここで会えて良かった

*スイスに住んでいた頃、雪解けの季節になると一斉に開く野の花の鮮やかな風景は言葉にならないほど素晴らしいものでした。地元の人によると、雪の深かった年ほど、次の春に咲く花は鮮やかな色を見せるのだそうです。その話を聞いて浮かんだイメージをふくらませて、旅立ちの歌を作りました。

"Nice to meet you."は、初対面の挨拶にも、別れの挨拶にも使えるフレーズです。"It is nice to meet you."と解釈すれば「あなたに会えて嬉しい」という出会いの言葉、"It was nice to meet you."と解釈すれば「あなたに会えて良かった」という別れの言葉。どちらにしても味わい深いフレーズですね。

チューリップのリーダーだった財津和夫さんのソロ時代の作品に、「I need you and YOU」という名曲があります。かつて彼が、この歌のタイトルの由来に触れて「小文字の<you>は自分にとって特別な存在としての<あなた>、大文字の<YOU>は大きな自然や宇宙を表す普遍的存在としての<あなた>を示しています。どちらの<あなた>も、人が生きていく上で必要不可欠な存在なのだという思いをこめて作りました」と語っていたのを覚えています。

雪の重さが大地をあたためて美しい花を咲かせるように、苦労したり、悩んだり、落ち込んだりした日々があるからこそ、実りある旅立ちと新たな出会いが巡りくるのでしょう。冬来たりなば春遠からじ。そこで出会う<あなた>は、小文字の<you>と大文字の<YOU>、すなわち自分にとって特別な存在である<あなた>と、世界を包み込む普遍的存在としての<あなた>の両方なのかもしれません。
 

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