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「難しい何切る」の2タイプを理解して、何切るを上達に活かす

上級者でも答えが分かれるような、どれを切っても一長一短あるように見える難しい何切るは、実は以下の二種類に分けることができる。

1.同じ評価の軸の比較で済むが、微差なので難しい何切る

例えば以下のような問題だ

(※以降断りがない限り問題は東一局西家、ドラ南、6巡目想定)

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選択肢としては3m、6p、3sだろう。

これらの選択の差は(良形)受け入れ枚数だ。知識としてノベタン、中膨れ、孤立37牌のくっつき有利差を知っていればすぐに解ける。

そして、仮に知識が無くても、それぞれの受け入れを実際に数え上げることで比較検討ができる。


(※配牌)

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この問題も、9mか北か白かでかなり微差に見えるが、僅かでも「平和になりやすいか」という評価の軸があれば、白切りが答えだと分かる。


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これはさらに細かい問題だ。1m切りと9m切りの差に違いはあるだろうか?これも非常に微差ではあるが、裏ドラの乗りやすさに違いがある。9mを2枚使っている分、1mが裏ドラになる可能性が低いため、1m切りが答えになる。

以上、1問目は受け入れ+良形率、2問目は平和率(打点)、3問目は裏ドラ率(打点)と同じ評価の軸の上で微差がある。微差とはいえ上位互換が存在することになるので、細かくても間違えてはいけない。

3問目を例に、イメージにすると以下のような図になる

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あくまでも他の評価の軸で差がないのであれば、細かい評価の軸の中で微差を追求していく必要がある。

もちろん、他に強い評価の軸があるのであればそちらを優先すべきだ。

こういった微差だから難しい問題は、座学や経験を積むことでどこかで出会うはずだ。その際に知識として頭に入れておいてもいいし、そもそも手牌を細かく比較する癖をつければ対応できるようになる。

場合によっては一手先や二手先の変化に差があったりするケースもある。一見差が無いように見える手牌に出会った際は粗探しのごとく差を見つけるようにしよう。


2.複数の要素が絡み合ってトレードオフになっており、一つの評価の軸で考えるのが難しい何切る

1の問題パターンは同じ評価の軸での比較だったが、複数の評価の軸が存在するケースもある。これらは上級者でも答えが分かれるような難しい問題になりやすい。

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この問題の有力な選択肢である3m(6m)切りと9p切りの違いを考えてみよう。

3m切りの良さはイーシャンテン時の受け入れの最大化だ。現状のテンパイ受け入れという評価の軸で最上位である3mを選択している。

9p切りの良さは打点および待ちの良さの上昇だ。マンズの連続形を維持し、そこで両面変化を狙うことで、タンヤオ平和といった高打点ルートを残している。その代わり、現状のテンパイ受け入れは4枚減っている。

3m切りはテンパイ速度という評価の軸の上で戦っているが、9p切りは主に打点という評価の軸の上で戦っている。軸が違うので、単純に比較が難しい。


さらにもう1問見てみよう。以前の記事の問題だ。

※東は安牌

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この問題の有力な選択肢である東切り、1m切り、7s切りの違いを考えてみよう。

東切りは最も攻撃に優れる。マンズ一気通貫の打点上昇も残し、あらゆる受け入れロスがない。ただし東による守備力を犠牲にする。

1m切りは守備力を残したまま多くの受け入れを維持できる。ただし一気通貫の変化を消すため、打点上昇を犠牲にする。

7s切りは打点上昇も守備力も確保できる。ただしいくつかの受け入れを犠牲にしている。

ざっくりと受け入れ(速度)、打点、守備力という3つの評価の軸がある。その中で何かを確保しようとすると、何かを失うという構図になっている。

イメージとしては以下の図だ

難しい何切るトレードオフ

各選択ごとに各評価の軸間の差が生まれるため、「で、総合すると結局どれが一番いいの?」となりやすい。上級者の間でも、守備意識に差があったり、打点感覚に差があったりして答えが分かれやすい。

こういった問題は、そもそも答えが分からないことの方が多い。何切るの答えを出すという目的を最も簡単に達成できそうなのはシミュレーターで計算することだろう。今回の問題設定だと、東切りが答えになるはずだ。

ただ、より深く理解するためには、各選択がどの評価の軸が高いのか、他の選択と比べてどのような点で劣るのか。そして、その選択がより活きるような状況はどのような状況かを考えてみると上達につながりやすい。

例えば、東切りは守備力が落ちるが、受け入れと打点という攻撃面では申し分がない。ということは、東切りは序盤であればあるほどより他の選択よりも差が広がることになる。序盤は守備力を重視しなくていいからだ。あるいは、いずれ出ていくであろう1mや7sの安全度がより高い場況であれば、東切りはより良くなる。唯一のデメリットである守備力がカバーできるからだ。

逆に、巡目が過ぎていくとその分東切りは不利になる。現状リャンシャンテンでありながら、守備力を薄くすると、対リーチに対して詰みかねないからだ。巡目が過ぎればその分対リーチ状況は生まれやすくなる。よって、危険牌先切りを兼ねて7sや1mの方が良くなるだろう。

他の選択にも同様に、どういう巡目、ドラ、点数状況、場況、親/子などの設定があれば各選択がより良くなるのかを考えてみよう。こういった複数の評価の軸が絡む問題はどの選択も均衡しているように見えるはずだ(特に場況も表示される立体問題であれば情報がありすぎてわけが分からなくなる)。

こういった問題に対しては、その場で「答え」を探すよりも、それぞれの選択が強くなる場面を再設定することで、選択の強さをあぶり出して理解することが大切になる。色々な評価の軸とその程度感覚を養うことで上達に役立つはずだ。


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