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特別養子縁組で子どもを迎えたわたしが、養子の当事者である父に聞いたこと

父は養子として、幼い頃に祖父母のもとにやってきた。
そしてわたしは特別養子縁組で子どもを迎えている。

先日、父が福岡に遊びに来てくれたので、養子の当事者である父に気になっていたことを聞いてみた。
わたしにとって父はずっと父で、家族ゆえの気恥ずかしさから「父になるまでのこと」はあまり聞いたことがなかった。
血縁についてはどういったことで悩むのか、どんな言葉をかけられて嬉しかったのかーー個々人によって違うというのは念頭に置いてるが、なんにしても当事者に直接聞ける機会は貴重だ。

●いつ養子だってわかった?
小さい頃から近所で「もらわれっ子」とからかわれていたから、なんとなく気づいていた。
そして、長期休みに北陸に遊びに行くと、世話をしてくれたおばさん(知らされていなかったが、実の母)が帰り際に必ず涙を流して泣いていた。あとは兄(やはり当時は知らなかった)と歩いていると、近所のおじさんが「やっぱ兄弟だからよう似とるなー!」って口を滑らせたり……。いろいろ気づく点はあった。
だから、そうなんかな、そうなんだろうなっていうのは思っていた。

確信したのは小学六年生のとき。
修学旅行で鉄道に乗る際、国鉄職員の子ども(当時、祖父は国鉄で働いていた)は割引を受けられるということで身分証の提出が必要だった。そのときに戸籍謄本だったか住民票だったかを準備したら、「養子」と書かれていた。

養子という意味は分からなかったけど、親には聞いてはいけないとなんとなくわかって、自分で辞書をひいて意味を調べた。そこで養子ということの意味がわかった。
周りの対応でなんとなくわかっていたから「やっぱりそうか」という気持ちだった。

●真実告知についてはどう思う?
自分のときには知らされなかったけど、隠していても養子だということは気づく。ぜったいに気づく。
だから幼い頃から隠さず教えてもらう今のやり方はとてもいいと思う。

自分は中学生のときに出生のことで友だちとケンカになった。
それがきっかけで、なんで養子になったかを父が話してくれた。どれだけ望まれて今の家に来たのか、どれだけ大切に思われているかを切々と語ってくれた。父の口からそういうことが聞けて、気持ちが落ち着いてその後も支えになった。

高校生のときにはヤンチャをしそうになったが、自分のことを大切に思ってくれる人の顔が浮かんで――特に北陸にいる母を悲しませてはいけないと思って踏みとどまった。
自分はとても大切に育てられたと感じている。


最後に力強く言われたのは「愛情たっぷりに育ててればだいじょうぶ」という一言だった。

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