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しんにある

死に際の思いのために生きるのかもしれない。
棺は、あるほどの花……咲み、笑む花で、満たしたいと思う。

あるひとは、じぶんをおくる小舟を彫りつづけた。
(いつか、遥かな大海原へ、そのひとはゆく)

また、あるひとは、じぶんをうずめる穴を掘っていた。
(いつか、大地の深みへ、そのひとはかえる)

また、あるひとは、じぶんの身を粉に削ぎ落としていた。
(いつか、微塵になって、そのひとはきらめく)

仕事が仕事する仕事には、仕合せがあり、その果てには、無心のじぶんの、無数の手数に、謹んで包まれ、慎まれる。

われもまた。

そのとき、われも、かれらも、安らかにあるだろう。
満ち満ちて、花の如、微笑むだろう。

おのれの純粋な思いに澄んで、純化され、しんのしんなる、しんとしたしんに、しんにあるだろう。

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