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連なり星

ふたりは連なり星でした。
たがいに、たがいの重力で引き寄せ合い、たがいの周りを公転する連星です。
連星は、双子星とも呼ばれます。
たがいに近づいたり離れたり、たがいに親しみながら憧れながら、ふたりは旋回し回旋し、何億年も回りつづけているのです。

ひとりの星は歌います。(そう、星は歌うのです)
「きみがいるからぼくがいる」
もうひとりの星も歌います。
「きみがいるからぼくがいるのに、どうしてきみにふれられないの」

ふたりの歌はつづきます。
「ふたりでひとつのはずなのに」
「ふたりでひとつだったのに」

それでも、さびしさはありません。かなしみもありません。
いつか終わるときにも一緒だと、いつか終わるときには一緒だと、たがいに分かっているからです。
「ひとりひとり、でも、ひとりじゃない」
「ひとりひとりだからこそ、ぼくらは連なり星なんだ」

「きみの光はまばゆいね」
「きみの光もまばゆいね」
「ぼくらどこまでゆくのだろうね」
「ぼくらどこまでもゆこうね」

「ぼくらは連なり星だから」
「ぼくらは連なり星だから」

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