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心疾患と歯周病

今回は心疾患と歯周病の関係についてです。

歯周病は心疾患を引き起こす可能性がありますが、なぜ口腔疾患である歯周病が心臓に影響を与えるのかを解説していきます。


歯周病が進行し歯周病菌が増えると歯肉の血管を通り血流に乗って心臓へ移動します。その歯周病菌が心臓の血管壁に炎症を起こし、炎症部分に動脈硬化が起こり狭心症や心筋梗塞を引き起こしてしまうのです。

また歯周病菌が血流に乗り、心臓の弁や内膜に感染を起こす感染性心内膜炎という病気もあります。これは全身に血液を送るポンプである心臓で細菌が繁殖するため短時間で全身に細菌が運ばれてしまいます。

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☆★☆狭心症と心筋梗塞☆★☆

☆原因☆
心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が動脈硬化を起こし、血管が狭くなり血流が悪くなると狭心症や心筋梗塞が発症します。

動脈硬化が起こる原因は、

①血管壁への脂肪の蓄積

②血管壁が傷つき炎症を起こし、その治癒過程で血栓がつくられるため血管壁が厚くなり血液の流れるスペースが狭くなる

と言われています。

☆症状☆
狭心症の主な症状は、冠動脈の血流が悪化し心臓が酸欠状態になるため胸部に圧迫感や痛みが起こります。狭心症の発作は突然起こり、数十秒から数分続きます。また、胸以外の肩や腕、歯などに痛みを感じる関連痛があります。

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心筋梗塞の主な症状は、冠動脈の血流がほとんど止まってしまい、心臓の酸欠により一部の心筋が壊死している状態です。激しい胸の痛みや、締め付けられるよな圧迫感があり、狭心症と違い発作は長時間続きます。

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☆歯周病との関係☆
血管壁が炎症を起こして動脈硬化が進行するのですから、歯周病がある人とない人とでは、歯周病のある人の方が当然心疾患の発生頻度が高くなります。冠動脈の動脈硬化部分で歯周病菌が発見されたという報告もあります。

☆★☆感染性心内膜炎☆★☆

☆原因☆
血管内に入り込りんだ細菌が血流に乗って、心臓の弁などに付着し細菌感染を引き起こすことです。

☆症状☆
発熱、倦怠感が現れ、心臓弁の破壊が進行するとともに心不全(動機や息切れ)などの症状を発症します。

☆歯周病との関係☆
出血を伴う歯科治療時に、口腔内の細菌が血管に入り込み感染性心内膜炎を発症します。よって歯周病のある人は健康な人よりも歯周病菌を多く保有しているため、感染性心内膜炎になりやすいということになります。


歯周病は口腔内に発症して生命維持に必要な食事を摂れなくするばかりではなく、血管を通って直接的に死に至る病を起こす事を認識できたと思います。

口腔内の細菌が血管に入り込み感染するというリスクを減らすためにも、口腔内を清潔に保つことが、健やかに生き残るために必須です。

また、すでに心疾患のある方は、感染性心内膜炎を発症するリスクがさらに高まると考えられますから、観血的治療の前に抗生剤を使用するなど感染予防が必要と考えます。

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