短歌(2019年)

いるはずだ時間泥棒きみといる日に盗まれるいつも必ず

ジャリと鳴る道を見つめるあの小さき足で確かに踏みしめられた

散歩道みどりの中に誇る紅(あか) 秋色吸い込み朝を駆けゆく

月明かり緋色に匂う曼珠沙華 切なく凛とし我が目を奪う

雨上がり雫が光る月の下 花は静かに虫の音(ね)を聴く

わけもなく淋しくなる夜きみの声聴きたい気持ち隠しておやすみ

指の先まで満たしたい言の葉の脈へと潜りさらに奥まで

薄闇に真白(ましろ)のしっぽふわりふわ こみあげる愛しさ夜に溶け

無垢なしっぽまっすぐ空へ月明かりのもと気になる地面、草、ねこ


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