ごちうさ最新話の見どころまとめ(まんがタイムきららMAX2022年4月号)
「ご注文はうさぎですか?」(以下、ごちうさ)にはたくさんの魅力がありますが、いざ人に説明しようとすると、何から話せばいいか迷いますよね。
キャラクターの成長?ストーリーの伏線?自身の中では素晴らしいものだと分かっているつもりでも、それを言葉にしようとすると、案外難しいものです。
まんがタイムきららMAXの最新話を読むたびに、この作品の奥の深さを実感する自分がいます。何も考えずにごちうさを読むのも楽しみ方の一つですが、せっかくならこの魅力を人に伝えられるようになりたいですよね?
この記事は、そんなファンのために、毎月更新されるごちうさの新たな魅力を紐解くことで、その見どころとなるポイントを整理し、まとめていくものとなっています。
さて、今月もごちうさの最新話が公開されました。
お話に関わる重要なシーンをピックアップしていきますので、よろしければ最後までお付き合い下さい。
■ 今月の扉絵は神沙姉妹!リボンが持つ意味について
眼帯で片目を覆い隠した、黒い服装の少女が二人。今月のごちうさは、妖しい雰囲気の神沙姉妹が扉絵でした。
闇堕ち、という言葉がぴったりの様相を呈していますね。背中の羽や、頭の上のリングを見るに、テーマは堕天使でしょうか。いったい二人に何があったんだ…というのは後で見ていくとして、このイラストは以前のマヤメグと非常によく似ています。
具体的には、原作9巻「リトル*トレジャー*ハント」の扉絵と共通するものが多いです。
二人の少女という、構図。肩口の開いた、黒のワンピース。そして何より、全身に絡まったリボンが大きな特徴となっています。
これだけ派手にリボンを描くからには、何か意味がありそうですよね。二つの話を読み比べてみましょう。原作9巻「リトル*トレジャー*ハント」は、マヤメグの二人がお互いの絆を再確認するお話でした。
きっかけとなったのは、二人の夢です。メグちゃんは、マヤちゃんが学校の番長を目指し始める夢を見ました。一方、マヤちゃんの夢の中では、メグちゃんが突然人気者となり、マヤちゃんの元を去ろうとします。お互いがお互いから離れる夢を同じタイミングで見たせいで、自分が置き去りにされてしまうんじゃないか、という不安がシンクロしたわけです。
今回のごちうさも、あらすじをざっと振り返ってみると、神沙姉妹の「不安」を解消することがテーマになっています。ブライトバニーの面接に落ち、自分の存在が否定されたような気持ちに陥った神沙姉妹をココアちゃんとリゼちゃんの二人が保護するのがはじまりでしたね。
「幼なじみが離れていくようで寂しい」「素の自分が否定されたようでつらい」。リボンとはすなわち、マイナスの感情に囚われていることを示すキーアイテムなのではないでしょうか。
神沙姉妹が堕天使なのも、「マイナスの感情に囚われている」という点から見れば、納得です。ちなみに眼帯をしているのは、LINEのアイコンが由来でしょうね。神沙姉妹のLINEのアイコンは、13ページの2コマ目の描写から確認できますのでよかったら見てください。
■ 挫折を乗り越えて成長していく神沙姉妹
今回のお話は神沙姉妹の挫折と再起が素晴らしかったです!
内容を一言でまとめるなら、「面接に落ちた神沙姉妹を励まそう」というものでした。お話は、エルちゃんの様子がどうもおかしいぞ?というココアちゃんの気付きから始まります。無表情で本に目を落とし、読書に集中している様子。それだけならまだ日常の一コマと言えないこともないですが、ココアちゃんに声をかけられても、エルちゃんは全く振り返りません。
おかしいのはエルちゃんだけでなく、ナツメちゃんも同様です。こちらに至っては情緒不安定、リゼちゃんの何気ない一言にいきなり泣き出してしまう有り様です。事態を重く見たココアちゃんとリゼちゃんは、二人をラビットハウスに保護。話を聞くに、どうやらブライトバニーの面接に落ちたらしい、とのこと。
ここで押さえておきたいのは、神沙姉妹がブライトバニーの面接に落ちたのは二度目だということです。最初の面接落ちは、前々回。チマメ隊が放課後のお茶会に花を咲かせていた時でした。同じ時に、神沙姉妹はブライトバニーの面接を受けに行っていたんでしたね。
この時の神沙姉妹は確かに落ち込みこそしましたが、最終的にはリベンジに向けて闘志を燃やしていたはずです。
最初の面接時と違うのは、メグちゃんによる練習が入ったことでしょう。直接の描写はありませんが、意気込む神沙姉妹を見て、「私で良ければ力になるよ!」とメグちゃんは助力を申し出ました。この時の練習に問題がなかったらしいことは、チノちゃんが説明しています。つまり、今回の面接は、メグちゃんからのお墨付きであり、これなら採用されるだろうというある程度の確信をもって神沙姉妹が挑んだものでした。
にもかかわらず、結果は不採用。落ちた理由に明らかな原因があるということであれば、そこを改善してまた次の機会にリベンジすれば良い話ですが、そういう話でもないために、神沙姉妹は自分を責めてしまいます。
「素の自分で挑んだのに、その自分が否定されちゃった」「だからもう昔みたいに猫かぶった性格の方が傷つかなくて済むんだ」。空虚な言葉は、神沙姉妹がどれだけ心に深い傷を負ったかを表しています。確かに、万全の対策をして、持てる力の全てを出し尽くした試験の結果が伴わないのってけっこう精神的にダメージ来ますよね。
自分たちだけで挑んだならともかく、今回の面接は周りの人からの支援もちゃんと受けていたからこそ、どうして良いかわからなくなってしまった面もあるのでしょう。
神沙姉妹は、本当に大した理由もなく落とされてしまったのか。この点に関して、実はフユちゃんから驚きの事実が明かされます。なんと、面接の採用枠はそもそも一人しかなかった、というオチ。
ブライトバニーの店長としても、まさか双子が面接に応募してくるとは思わなかったのでしょう。当然ながら、二人を同時に採用することはできません。採用するためには、どちらか一方を落とすことになります。店のことを第一に考えるなら、ここで神沙姉妹のうちの一人を採用するのが合理的でした。
けど店長は、それをしなかった。理由は、二人が「仲良しだったから」。双子のうち、どちらか一方だけ採用するようなことをすれば、二人の仲に亀裂を生みかねません。そんなリスクを生むくらいなら、二人とも不採用の方がいい。店の人手を増やすことよりも、今目の前にいる双子の仲を大事にする道を店長は選んでくれました。ここに、店長の人柄がよく表れている気がしますね。どちらか一方を選ぶくらいなら、二人一緒に落とした方が二人にとっては幸せだろうと考えての判断だったのでしょう。今月のごちうさは、このどんでん返しがすごく感動的でした。
店長、カッコよすぎる。ひょっとしたら、店長自身もこの理由を本人たちに説明しなかったことを後悔していたのかもしれません。理由を聞く前に逃げてしまったのは神沙姉妹の方ですが、わからないことはやっぱり本人に直接聞くのが一番です。全ての事情を知った二人が、ぽろぽろと涙を流すシーンは泣けますね…。
本当に、ずっと怖かったんだろうなあ。二人の台詞の主語が入れ替わっているのがこれまた泣ける。神沙姉妹が何より恐れたのは、自分が否定されることじゃなくて、大好きな妹、大好きなお姉ちゃんが否定されることでした。
そうして神沙姉妹は、またブラバの面接に立ち向かっていきます。ここ、10巻で自分たちに対して勇気を出して歩み寄ってくれたフユちゃんに対するアンサーだと考えられなくもないです。あなたが勇気を出してくれたから、今度は自分たちの番だ。いつの日か、チノちゃんが「この気持ちを返したい」と言っていたのを思い出しますね。神沙姉妹も、フユちゃんの勇気にいつか応えたいとずっと思っていたのかもしれません。ブラバ組の絆が深まっていくのを感じます。
■ 一緒に悩もう!と言えるココアさん
今回のお話は神沙姉妹に焦点が当たっていましたが、一方でココアちゃんもすごく良い台詞を残していました。「凹む事言われたら一緒に悩も!」って、中々言えることじゃないですよね。
悩みというのは、誰にとっても重くて苦しいものです。だから、人が誰かに悩みを相談したいと思うとき、求めているのは具体的な解決策だけじゃなくて、今抱えているこの苦しさをどうにかしてくれること。重い荷物を運んでいるときって、誰かが手を貸してくれたらけっこう救われた気持ちになりますよね。
「一緒に悩も!」という台詞は、重い荷物を運んでいる人にまさに笑顔で手を差し伸べるような言葉ではないでしょうか。現実の世界では割と多くの人がやってると思いますが、メンタルの世界でも同じことをさらりとやってのけるココアちゃんはやはりコミュニケーションの達人だと思います。この言葉はいつか日常生活の中で使ってみたいです。
■「チノがやるべき喫茶店」
ティッピーからの重大な示唆。チノちゃん自身は、この言葉の意味をまだ理解してはいないようですが、「やるべき喫茶店」とはつまり、チノちゃんがやりたい喫茶店のことでしょう。問題は、チノちゃんがどういう喫茶店をやりたいと思っているか?です。
先に僕の結論を言っておくと、チノちゃんは「騒がしくも不思議と落ち着く」みたいな喫茶店を目指していくんじゃないでしょうか。
「おじいちゃんの理想の喫茶店を守りたい」のは本当でしょう。マスターの理想の喫茶店がどういうものかに関しては、原作5巻9話のチノちゃんの言葉に微かなヒントがあります。「騒がしいのはお爺ちゃん嫌がります…」。マスターが好むのは、静かな喫茶店です。チノちゃんもまた、落ち着いた雰囲気をお客さんに提供できるようなバリスタを目指して自己研鑽を重ねていると思います。
ですが、チノちゃんは旅行の中で様々な喫茶店を見てきました。写真に写り込むギャルソンのおじいさん、ブライトバニーというチェーン店との出会い。生前のマスターが好んだような、静かな店だけが喫茶店の全てではないことを、チノちゃんは知っています。何より、チノちゃんは原作10巻で「ピアノが置けたらいいですね」と言いました。ココアちゃんやリゼちゃんと一緒に、いつかラビットハウスでセッションすることを楽しみにしています。
それは、マスターが思い描いた理想の喫茶店とは違うものでしょう。しかし、それでもチノちゃんの中には今もマスターの意思が生きている。静かな喫茶店も、騒がしい喫茶店も、きっとどちらもチノちゃんにとっては等しく大切にしたいもので、であれば、両者を良いとこ取りしたような喫茶店に落ち着くのは自然と言えます。
つまり、これからのチノちゃんは「騒がしいけど、不思議と落ち着く」ような、そんな喫茶店を目指していくのではないか、と思うわけです。
ピアノの音色と、マラカスの音。陽気な歌は、時折音程を外して笑いを誘います。音に満ちたラビットハウスは、きっと騒々しいことでしょう。けれどお客さんは、誰もが最後にこんな一言を残して去っていきます。「また来るよ、マスター」。言われたチノちゃんが嬉しそうに微笑む様子が目に浮かびますね。
■ おわりに
さて今回は、神沙姉妹のドラマと、ティッピーの意味深な発言に焦点が当たったお話でした。いかがでしたか?
ここでご紹介したものは、あくまで個人の解釈です。本記事を手がかりに、みなさんも自分なりの考えや解釈を広げてみてください。
またね!
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