ごちうさ最新話の見どころまとめ(まんがタイムきららMAX2022年5月号)
「ご注文はうさぎですか?」(以下、ごちうさ)にはたくさんの魅力がありますが、いざ人に説明しようとすると、何から話せばいいか迷いますよね。
キャラクターの成長?ストーリーの伏線?自分の中では素晴らしいものだと分かっているつもりでも、それを言葉にしようとすると、案外難しいものです。
まんがタイムきららMAXの最新話を読むたびに、この作品の奥の深さを実感する自分がいます。何も考えずにごちうさを読むのも楽しみ方の一つですが、せっかくならこの魅力を人に伝えられるようになりたいですよね?
この記事は、そんなファンのために、毎月更新されるごちうさの新たな魅力を紐解くことで、その見どころとなるポイントを整理し、まとめていくものとなっています。
さて、今月もごちうさの最新話が公開されました。
お話に関わる重要なシーンをピックアップしていきますので、よろしければ最後までお付き合い下さい。
■ 今月のきらマはごちうさが表紙!お団子ヘアーのココフユが登場
寒い日がまだまだ続きますが、最近は暖かい日も増えてきましたね。今月のきらマは、春らしい出で立ちのココフユが表紙でした。
ココアちゃんはピンク、フユちゃんは水色と、二人の制服のコントラストが爽やかで心地良いです。桜の花びらは、ハートの形。片手を握った二人がもう片方の手でハートの花びらを強調しているのが可愛い…!
お団子ヘアーのココフユというのも、これまた可愛いポイントでしょう。特にフユちゃんはおしゃれに疎く、普段は地味なファッションで身を固めていることが多いです。なので、髪型を少し変えるだけで、印象がガラリと変わります。
細かいところに目を向ければ、缶バッジなどの小物も凝ってますね。ポケットに入ったチノちゃんのぬいぐるみは、リゼちゃんのお手製でしょうか。
二体の表情が違うのは、ココアちゃん、フユちゃん二人の中にあるチノちゃんのイメージが反映されているからだと思います。
このぬいぐるみが今人気沸騰中で、ファンの間でも「欲しい!」という声が続出しています。僕も欲しいです。グッズ化されたら真っ先に完売してしまうことが予想されるので、なるべく早めの確保を心がけたいですね。
■ 軍服姿のリゼちゃんを取り合うシャロちゃんとユラちゃん
一方の扉絵は、時代がかった軍服に身を包んだ三人。リゼちゃんの脇を固めるようにして、シャロちゃんとユラ先輩が腕を取っています。
二人がリゼちゃんを取り合っているように見えるのは気のせいではないでしょう。本編の内容は、このイラストから何となく察しがつきますね。
ユラ先輩の手がリゼちゃんのすごいところに伸びているのはさておき、軍服姿の三人は魅力的です。扉絵は、作中に登場しない衣装を見られるのが大きなポイント。不思議の国のアリスを思わせるファンタジックなドレスから、今回のような中世ヨーロッパをイメージした軍服まで、その種類は実に様々です。
「作中では着る機会のない衣装やシチュエーションで華やかさを意識する事が多い」とは、Koi先生の弁。これはきらマの表紙関連に言及した言葉ですが、扉絵でも同じことをKoi先生は意識していると思います。実際、本編で軍服を出そうと思ったら演劇をやるか、ファンタジーの世界にココアちゃんたちを飛ばすかの二択ですからね。
私服や学生服に留まらない、珍しい衣装のココアちゃんたちが見られるのが扉絵の醍醐味です。あなたのお気に入りの衣装は何ですか?
■ ご注文はリゼシャロの表情集ですか?
さて今月のごちうさは、まずシャロちゃんの表情変化が可愛かったですね!
お話は、シャロちゃんが街のショーウインドウとにらめっこしている場面から始まります。今日はリゼ先輩と買い物デート。目的はラビットハウスで使っている食器の新調であることが、本編を読み進めるとわかります。おそらくはリゼちゃんの方からシャロちゃんに声をかけたのでしょう。
待ち合わせ場所に待機しているシャロちゃんはというと、気合十分。ショーウインドウを見つめながら、何度も何度も髪型チェック。そこへリゼちゃんから声がかかり、飛び上がるシャロちゃん。はい可愛い。
その後のデートでも、実に多彩な表情を見せてくれました。ブライトバニーの注文方法や食器店の紹介で張り切ったり、逆にとある事がきっかけで寂しさを感じて泣きそうになったりと、目まぐるしい速さで一喜一憂するシャロちゃんは見ていて飽きません。
一方のリゼちゃんも、張り切るシャロちゃんに半ば引っ張られるようにして、いろいろな一面が引き出されていたように思います。
ファッションの話が出来なくて焦ったり、これではいけないと一念発起して逆に堂々としてみせたり。二人の気分がぐるぐると変わるせいか、お話自体はデートというシンプルなものでありながら、体感速度は普段のごちうさより早かった気がしました。
リゼシャロの関係って、独特ですよね。同級生のココ千夜と違い、二人の間には年齢という名の大きな壁があります。
以前はまだ同じ学校の先輩と後輩でいられましたが、リゼちゃんが高校を卒業した今、その繋がりはなくなりました。大人になっていくリゼちゃんに対してシャロちゃんが寂しさを感じているのは、本編でも描かれている通りです。
ですが、二人の間にはもはや年の差を越えた絆があります。昔は年上に対して何かと遠慮しがちだったシャロちゃんも、今は驚くほどあけすけな言葉をリゼちゃんにぶつけていますよね。
また、リゼちゃんも、後輩だからってむやみにシャロちゃんを年下扱いはせず、今回のように頼るべき時はしっかり頼っています。
年の違いによる、かしこまった関係。友情による、くだけた関係。それらの間を、まるでメトロノームの針が往復するように、行ったり来たりする二人の関係がとても面白いです。
旅行編から折に触れて感じていたことではありますが、今回は改めてアンバランスな二人の面白さを堪能できました。リゼシャロ尊い。リゼシャロはいいぞ。
■ ユラ先輩がブライトバニーの店員に!?
そういうわけでリゼシャロの関係は揺れやすい性質を持っていますが、そこに更なる揺さぶりをかける人が。
ユラ先輩がブライトバニーの店員になっていました。これは決して突然の出来事ではなく、伏線はちゃんとあります。前回のお話は、神沙姉妹がブライトバニーの面接に落ちたというものでしたね。
落ちた理由は、採用枠がそもそも一人だったからです。姉妹のうち、一方だけを採用するのは気が引けるからと、優しい店長が二人そろって不採用にしたのが事の経緯でした。
神沙姉妹が不採用であれば、その枠は当然別の人が入ることになるわけで、そこにちゃっかり収まっていたのが狩手結良その人だったのです。ブライトバニーの都会っぽい雰囲気に元から興味があったこと、大学生になって自由な時間が増えたことが志望動機であるもよう。
しかし、伏線があったとはいえ、これは寝耳に水でした。得意のファッショントークでユラ先輩はシャロちゃんと意気投合します。
一方のリゼちゃんは流行のファッションを追うような性格ではないため、ここで会話についていけなくなり、疎外感を感じてしまうのでした。
きらら作品のヒロインがやる囁き方じゃないんだよなあ。いつも思うんですが、ユラ先輩は出る漫画を間違えてはいませんか。
シャロちゃんがリゼちゃんを慕わないなんてことがあるとは到底思えませんが、会話に入れずにメンタルが弱っていたリゼちゃんには、効果てきめんでした。これがきっかけで、リゼちゃんは後に空回りをする羽目になります。
ブラバ組に新メンバーが加わった形になりましたね。今後は、神沙姉妹やフユちゃんとも接する機会が増えていくでしょう。特に、フユちゃんはさっそく今回から人見知りを発動しており、二人がこれからどうやって距離を縮めていくかが焦点になりそうです。いろいろな方面に影響が出る一つのターニングポイントだと思います。
■「変わっていくけど変わらない場所」
今回はシャロちゃんの口から大事な言葉が語られました。
ごちうさという作品がこれまで繰り返し描き続けてきたことであり、橋本監督もBLOOMの制作インタビューで言及しているテーマ。
「変わっていくけど変わらない場所」。会話の中でシャロちゃんが零した何気ない台詞ではありますが、この言葉には、ごちうさのエッセンスが詰まっていると思います。
今回のデートは、ラビットハウスの食器を仕入れるのが目的でした。お目当てのものは、動物などのイラストが描かれた可愛い食器。
大人向けのシンプルな食器はすでに店にあるものの、子供向けの食器がないので、今回はそれを新たに仕入れて、店に置こうという話でした。この背景には、ラビットハウスにおける客層の変化があります。
子連れのお客さんが以前よりも頻繁に店に来るようになったので、その人達も楽しめるような食器を置きたい、というわけです。
これはチノちゃんともしっかり相談した上で決めたことだそう。しかし、その話を聞いたシャロちゃんの内心は穏やかではありません。
リゼちゃんもリゼちゃんで若干の寂しさが滲んでいるようにも見えますが、シャロちゃんの動揺は、リゼちゃんの予想を上回るものでした。目に涙をためて、しまいにはリゼちゃんの元から逃げ出そうとします。
変化を受け入れ、大人になっていく。自分を置き去りに、リゼちゃんがどんどん成長して遠い世界の住人になってしまうように感じられたことが、シャロちゃんは耐えられなかったんですね。
冒頭でシャロちゃんが髪を必死に直していたのも、ここに繋がります。キレイになった先輩の隣を歩いても恥ずかしくないようにと、そんなふうにリゼちゃんの背中に追いつこうとして必死なのでした。
ここにきてようやくシャロちゃんの切実な思いを知ったリゼちゃんは、可愛い後輩の涙を拭うため、一計を案じます。
それは、ラビットハウスに招待して、ツインテールを見せること。
大学生になったリゼちゃんは、イメチェンのために髪型を変えました。ただし、例外として、ラビットハウスの店員として働いている間だけはツインテールを継続することにしたそうです。
理由は「子供に人気だから」など、いくつかあるみたいですが、一番はやはりリゼちゃん本人が気に入っているからでしょうね。以前と変わらないリゼちゃんの姿を見て、安心したシャロちゃんの言葉が、「変わっていくけど変わらない場所」というわけです。
何が言いたいかというと、今回のお話はつまり、「変化していくものの中から変わらないものを見つけ出して守ろう」という主旨になっているんですよね。
こうした構図は過去のエピソードにも存分に盛り込まれていて、たとえば2巻「青山スランプマウンテン」のお話では、万年筆が「変わらないもの」の象徴として出てきます。
4巻「全員攻略完了したので帰ります」では髪飾りが、6巻「やきもち風味のカモミール」ではあんこの王冠が、それぞれ同様に「変わらないもの」として描かれていました。
いずれの品も無関係なようで、実はある共通のストーリーを持っています。それは、ココアちゃんたちの手によって、「守られた」ということ。
この「守る」というのが、とても大事です。なぜなら、これらは何もせずとも永遠に変わらないものではなく、守ろうとしなければ失われてしまうものだからです。
今回、リゼちゃんがラビハでツインテールを維持することに決めたのも、ココアちゃんの助言がなかったら、きっと実現しなかったでしょう。
では、なぜ今になってこのテーマが再び強調されているのか?それは前回、ティッピーの口から「チノのやるべき喫茶店」という言葉が出たことと無関係ではないでしょう。
奇しくも先日のTPでは、チノちゃんの変化が話題に出たばかりです。チノちゃんが、初期の自分と比べて大きく成長できたのは、今まで積み重ねてきた様々な経験があったから。
つまり、こういうことです。チノちゃんは、ココアちゃんたちの背中を見て育ってきた。
その人たちは、変化することに抗うことなく、受け入れながらも、変化の中から変わらないものを見つけて守り続けてきた。
変わっていくように見えるものでも、変わらないものは、絶対にある。当たり前のように、チノちゃんの中にはその考えが根付いているのでしょう。
そうして今、自分がやりたい本当の喫茶店の姿に、チノちゃんは辿り着こうとしている。
それは、「守る喫茶店」。
ラビットハウスの将来像が、ごちうさという作品の姿を反映しているのなら、「守る」とはすなわち、「ごちうさとは何か?」に対する答えでもあります。僕の答えは、こうです。
■ 一難去ってまた一難。フユちゃんに再び試練が…!
最後になりますが、ブライトバニーにユラ先輩が来たことで、非常に困ったことになっているであろう子を紹介しておきます。フユちゃんです。
つい最近、神沙姉妹との壁を乗り越えたばかりなのに、息つく間もなく、神沙姉妹よりもさらに手強い相手が現れました。
大方の予想通り、案の定フユちゃんは人見知りを発動しています。しかし、同じ店で働く同僚という関係である以上、いつまでも距離を開けたままにしておくわけにはいかないでしょう。
フユちゃんとユラ先輩、どちらかは分かりませんが、必ずどっちかからアクションがあると思います。今後の二人の関係の変化に注目です。
■ おわりに
さて今回は、リゼシャロのデートや、ごちうさの根幹に関わるテーマへの解像度が上がったお話でした。いかがでしたか?
ここでご紹介したものは、あくまで個人の解釈です。本記事を手がかりに、みなさんも自分なりの考えや解釈を広げてみてください。
またね!
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