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ピアノ・コーリング

時々、無性に指が鍵盤を欲しがる。
実家のピアノは母がタケモっちゃって無い。もー母ちゃん、せっかくのグランドを。
まあ彼女は広々して嬉しいらしいが、私が弾くというていで欲しがったのは実は五十の手ならいで始めたばかりの母の方だった。

↑カッコいいよねえ。きもちいいー^_^


好きなのはドビュッシー。テクの問題で難しいのは諦めた。ケークウォークとかベルガマスク組曲が限度。
あの奇妙で静謐でやわらかな響きと味わい。
ジャズなどにハマったのもその頃だが、クラシック習い者はジャズの弾き方が分からない。



昔住んでいた街で、裏通りに新しく出来た小さなバーにふらっと飲みに行った。
するとアップライトピアノがあり、私と変わらないくらいの年頃の男の子が弾いていた。
上手い、ジャズだあーと飲みながら見て(ピアノの場合、やはり指を見てしまう)いると、演奏を終えた男の子がパラパラ拍手を浴びながら客席に下りて飲み始めた。
その子が私のところに来て言った。
「弾きに来る?」
「え?私ジャズはできませんよ」
「明日昼3時くらいに来れば。教えてあげる」
「ホント?いいの?」
「ウンひまだし」



何故彼が私がピアノを弾くのが好きなのを分かったのかは不明だが、翌日3時に言われた通り行ってみた。
そこで、初めて習ったジャズの曲は、ミュージカル「キャバレー」のテーマだった。
「コードでこれをさ」
「コードわかんない」
「マジか」
「譜読みも苦手だから大体いつも耳コピ」
「あ、じゃ耳で覚えればいいよ。あとはリズム取ってさ」
レッスンはそれきり。お金も取られなかった。



その日見よう見まねと耳コピで覚えてからは、一人でなんとなくその手のを弾くようになった。
すると映画音楽やポップスやロックに対応しやすくなった。



セトリを作って、どこかストリートピアノにでも行こうかなあ。

これでもいいけどさー。
やっぱりあの感触や響き、木の厚みには代え難いと思うのよ。


《とりあえず自分セトリ》

7 O’clck/クワイアボーイズ
Cheek To Cheek
魅惑の宵/マントヴァーニ
Tears Of Foolsほかl/BIGBANG
ウイーンわが夢の街
戦場のメリークリスマス
メリーウィドウワルツ
バレエ「コッペリア」からワルツ
キャバレー
ルイ・アームストロングメドレー
「海の上のピアニスト」から何曲か
ウルフルズ、何曲か
In A Sentimental Mood
アシタカ聶記(せっき)、海の見える町ほか/久石譲
グレン・ミラーから何曲か
Long Way For Your Love(/Tracy 亡友達がベーシストとして在籍したバンドのバラード)
God Gave Rock’n’Roll 2 You,Foreverほか/KISS
月の光ほか/ドビュッシー
なんちゃってラフマニノフ(第2番とか第3番とか)
ビヤ樽ポルカ
THE BEATLESから何曲か
忘却、リベルタンゴ/ピアソラ
ニムロッド「謎」/エルガー

あとテキトーに作ってあそぶ。


ピアノの鍵盤と、指とに糸…絆のようなものが生まれてしまうことがある。
その糸はたまに遠く離れた指たちを引っ張る。ピアノはそして美しい声で鳴いて呼ぶ。
その呼び声を無視することは、ちょっと難しくて、かなりせつない。


クリスマスにロールのやつ買おうかな。

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