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10年の思い出を「プリパラフレンドシップメモリー」というライブに込めて。

『プリパラ』が10周年を迎えようとしている。
プリティーリズムシリーズからバトンを受け継いで2014年より展開を開始した作品が10年目という一つの節目を迎えようとしている事実に喜びと時の流れを感じてしまう。
続編として『アイドルタイム・プリパラ』が制作され、後継作となる『キラッとプリ☆チャン』や『ワッチャプリマジ!』が展開されてからも年末のシリーズ合同ライブへの出演は続いていたし、ユニット単独イベントも開催されていた。
スピンオフ作品として男子プリパラアイドルの「WITH」にスポットを当てた舞台版が制作されたり、昨年にはアプリ『アイドルランド・プリパラ』も展開していたので流れ自体は全く途切れていなかったのだが、「み~んなともだち!み~んなアイドル!」が10年である。
「商品展開が終わっても、作品が終わるわけではない」を実践して「今年でプリパラ生誕10年目」なのだ。なんかくらくらする。過ぎ去った時は戻らない帰らない。

さて。
そんな『プリパラ』生誕10周年を記念した一大プロジェクトの嚆矢となったライブが2024年4月20日に行われた「プリパラフレンドシップメモリー」だ。
ライブの随所に盛り込まれた「10年間の『プリパラ』が紡いでいた記憶」の演出と、10年間毎年何らかの形で「プリパラアイドル」としてステージに立ち続けてきたキャスト達のパフォーマンス、そしてキャスト・スタッフが送り出す「11年目もよろしく!」の想いは、「二時間」という時間を次の10年の最初の1ページにしてしまった。
あの二時間は本当に美しくて楽しい時間だった。
セットリスト自体に意外性があるわけではないものの、「10年間の思い出」を載せてくるので10年間の思い出が常に押し寄せてくる。
「最初に出た頃と今とは全然違うパフォーマンス」になっている役者も多く、10年間見続けた身としては「10年って凄いな」と時間が積み上げたものの美しさに感動するしかなかった。

特に良かった三選

全体的に見ても「今までで一番満足度が高かった」と思うのだが、特に良かったのが3つある。
まず1つ目は一曲目の「OPEN DREAM LAND!」。
『アイドルランド・プリパラ』という当時『プリパラ』を見ていたユーザーに向けた作品の主題歌を、「今までを振り返っていく」というコンセプトのライブの一曲目にぶつけてくる。
その事実だけでもう面白いのだが、「アニメとのシンクロを上げるためにふりを入れ直した」と語っているように歌っているそらみスマイル(らぁら/みれぃ/そふぃ)のパフォーマンスも今までよりも遥かに完成度が高かった。アニメと限りなく近いカメラワークや、TVシリーズも含めた『プリパラ』の歴史、そしてそらみスマイルの始まりとなる12話の引用に完全にやられた。
二番目はやはり『アイドルランド・プリパラ』で重要な役割を果たしたマリオの「チョコレートアイスクリーム・トルネード」。
演じている橘龍丸さんは毎回「マリオとしてどこまで攻めるか」に挑み続けている印象があるのだが、今回は階段から飛び降りるなど果敢に攻めたパフォーマンスを見せてくれた。
「いいぜ!」が鳴り止まないのも頷ける破壊的で創造的なパフォーマンスで、「これだけでも元が取れたな……!」と思える最高のパフォーマンスだったが、これの他にもう一本凄いものがあり、後述するがそっちもそっちで大変良かった。
後はやはり紫京院ひびき様は外せない。
紫京院ひびき様を演じる斎賀みつきさんは一つ一つの動き、楽曲中の台詞回しで「あ、ひびき様がいる!」という空気を創り出している。会場にいる男子も女子も山羊も羊も皆黄色い声を上げるのは仕方ないと思う。あの中で一番かっこいいのはひびき様だったから……!

新規CGもあるよ!

『プリパラ』のライブでは開催されるたびに「新曲か新規のCGライブが追加される」という状態が定番になっているが、今回は新規として「パルプスノンフィクション」と「ピュア・ハート・カレンダー」が追加された。
「パルプスノンフィクション」は緑風ふわりの楽曲で、未だ音源化されていない楽曲にも関わらずCGライブが製作された事に驚かされた。『アイドルランド』で今後追加される予定なのでその絡みもあってのことだと思うが、「TVシリーズ終了後に制作された楽曲がアニメの絡みでCGライブが製作される」というのはなかなかの話だし、ちゃんとTVシリーズ後の流れを汲んだ楽曲な事が熱く、キャストのダンスパフォーマンスもあって楽しい楽曲であった。なお曲振りはヤギ絡みだったメェ。
「ピュア・ハート・カレンダー」はライブではすっかりお馴染みとなった楽曲だが、ここで初めてCGライブが披露された。
この楽曲が登場したのが2019年の事なので、大体5年前の楽曲にCGライブがつく!というのがもう面白いのだが、アニメ内で振付が追加されたことによる解釈が深まっていく。
歌っているマイドリームは基本的に忙しい声優ばかりなので、ほぼこれ一曲のみなのだが、この一本に全力を注いでいるのでアニメとの組み合わせが映えるし、楽曲自体の歌詞が「メモリー」というテーマに合致していて、「ここでこの楽曲を使えること」が強く出ていたようにも思う。

カメラで何を表現する?

今回のライブでとりわけ驚かされたのはカメラである。
全体的にアニメを意識したカット割りやアングル作りになっていたのも驚きであったが、あまりとポォロロの「ポォロン♪あまやどり」とあまりとマリオの「究極合神アマリオン~破滅と創造の狂想曲~」は反則級に上手かった。これが出来るのは凄いとすら感じてしまうほど巧みな演出だった。
そもそも「ポォロン♪あまやどり」も「究極合神アマリオン~破滅と創造の狂想曲~」も現実のライブで完全再現するのが不可能なライブである。
なぜなら「ポォロン♪あまやどり」を歌うポォロロは身長が15mは超えているアイドルだし、「究極合神アマリオン~破滅と創造の狂想曲~」ではあまりとマリオが物理的に合体するからだ。
アニメだから出来ることを現実でどう表現するのか。
その解決として使用されたのがカメラだ。
「ポォロン♪あまやどり」ではステージを目一杯使い、手前にあまりを配置して画面奥にポォロロを配置しており、これにより遠近感が出てポォロロの大きさが表現できていた。また隣に並ぶ時に背後のスクリーンに実際のアニメの映像を表示して合わせる形にしていた点も押さえておきたい。
これにより映像は物理的なものを、キャストを心理的な距離感に感じさせるものとなっており、身長差が10倍以上の二人のキャラクターを上手く現実のライブの中に降ろすことが出来ていたと思う。
では物理的に合体していた「究極合神アマリオン」はどうだったか。
これは画面分割を用い、動く演者を正中線で割って左右に二人を配置する事で究極合神形態である「アマリオン」を表現している。
動く演者を常に捉え続ける必要があるため、完璧なまでの合体とまではいかないが、やろうとしていた事は伝わってくるし、上手く行った時の面白さには唸らされる。
「究極合神アマリオン」自体、マリオを演じる橘龍丸が殺陣を考案しており、見応えのある要素が多いが、「何が出来て、何が出来ないのか」を考えた上で「ファンが一番喜ぶことに可能な限り近づけていく」を行った演出はとても良かった。
さすがMIKAちゃん先生(アイドルアニメ好きで、プリティーシリーズでは現実のライブ演出担当)だぜ!

結びに

最後にはファン待望のそらみスマイル単独イベントの開催も告知された。
かねてよりキャストからも熱望され、ファンも期待していたのだけれど、らぁら役の茜屋日海夏もみれぃ役の芹澤優もそふぃ役の久保田未夢も一人一人がとにかく忙しい状態で、「そりゃやってくれるなら見たいけど、無理じゃないかなー」という雰囲気が強い中での発表だったので大きな盛り上がりを見せている。そろそろそふぃ様に完全新曲くれ。
また東京とオオサカ・プとプクオカにて特別展が開催されることも発表されており、それに合わせて1000年後の未来からやってきたアイドル「らぁるる」の登場も決定している。
おそらくこの辺りはまだ序章だと思うが、何にしても次の10年も「み~んなともだち!み~んなアイドル!」。
この精神でまた作品と向き合っていきたい。



プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。