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『劇場版ポールプリンセス!!』でポールが生み出すダンス表現の可能性に圧倒された

本日から公開だったので『翔んで埼玉2 琵琶湖より愛を込めて』と『ポールプリンセス!!』の映画二本を見てきた。
『翔んで埼玉2』はネタバレ禁止令が敷かれているため詳細な内容について述べることは出来ないが、劇場の各所から笑いが漏れ出るぐらい面白くて笑える「茶番劇」だった。
テーマ自体は前作同様真面目なものなのだが、絵面や台詞回しがイカれてるかトンチキかのどちらかなのでどうしても笑ってしまう。今回の舞台は関西なのに弄りがかなり的確だった点も良かったので、この調子で次は九州辺りに攻め入ってほしい。九州は偉人や観光名所は多いのに福岡一強みたいなところがあるからネタにはしやすい……はずだ。

本日鑑賞したもう一本の映画である『ポールプリンセス!!』だが、凄かった。
「『アニメでポールダンスを描く』とはこういうことなのか!」と理解させられてしまったし、同時に自分の中での「ポールダンス」というものへの認識が変わっていく音がした。ここまでのものを見せてくれるとは予告段階では全く予想してなかったので「衝撃的」だった。
そもそも私はタツノコプロのCGチームのことが好きである。
もっと言えばタツノコプロ所属のCGディレクターである乙部善弘さんのことが大好きで、彼が担当したと語っていたアニメは今でも可能な限りチェックしているぐらい乙部さんの仕事っぷりが好きだった。
そんな乙部さんが企画側としても関与している作品がこの『ポールプリンセス!!』だった。
youtubeの配信アニメで発表された本作は、ポールダンスと出会った少女達の最初の一歩を描いていて、短い本編時間とはいえとても魅力的な作品だった。
特にポールダンスショームービーは「こういう表現もあるのか!」と何度も繰り返し鑑賞している(ヒナノのポールダンスは本編に組み込まれているためお気に入りである)。

そんな『ポールプリンセス!!』が映画になると聞いた時は「やっと物語の二歩目が見れるんだ!」と思ったのだが、反面「どんな方向にポールダンスの演出が進化するのか」という点に関しては全く読めなくて不安な側面があった。重力を感じさせつつ、ポールに捕まってる時はその存在を感じさせないのが『ポールプリンセス!!』の凄いところなので、そこは維持されるだろうが、それ以外はどこに引き出しがあるのか検討もつかなかった。
しかし今回の映画で見せられたのは、作中のキャラクター達と同じく「進化したポールダンスショー」であり、映画館の大きな画面だからこそ強烈な印象を残す凄まじいものだった。自分の中のあらゆる身体表現の引き出しが強引に引き出されていくような感覚を覚えた。
もう一発目となるダブルスからして「一本のポールを二人のプレイヤーが使用してパフォーマンスを行う」だから凄い。
「足でポールに絡まり、パートナーの手を取り合って舞う」みたいなこともやるし、「ポールに捕まりながら相手の足の間に落ちていく」みたいなこともやる。それをしっかりと「キャラクター同士の関係性と心の動きを込めたダンス」としてやっているので見入ってしまう。おまけに「過去の失敗をもう一方のプレイヤーの助けを借りてポールダンスでリベンジする!」みたいな物語も入ってくるので面白いに決まっている。
人魚をモチーフにしたキャラでは「ポールに登る」で海面への浮上を、ポールに捕まって頭から降りてくる(煽りアングル)で海底への潜水を表現している点もポールダンスにしか出来ないものだし(余談だが、このキャラクターのポールダンスショーは衣装のギミックが凄い)、抜刀して刀を用いた剣舞をポールダンスの中で混ぜられた時は今まで見たことがない映像でくらくらした。
だがやはり一番凄かったのは絶対王者の御子白ユカリだ。
力強いステップにポールに捕まった時の軽やかさ、そしてしなやかさを持つ彼女のポールダンスは迫力がたっぷりだし、ある演出は「周囲の期待を真正面から受け止めた上で、それらの期待を上手にいなして自身の進化したパフォーマンスに感服させてきたんだな」ということを「パフォーマンスの最中に騎士の幻影が襲いかかる」で表現していて、もう「強い」としか言いようがなかった。マント付きの衣装であることを踏まえ、ポールで回っている時の動きの大きさも素晴らしく、最後は「絶対王者の存在」を届けているかのようだ。凄かった。
そんなユカリの後となる主人公のヒナノは「ポールダンスに夢中になっている」というプリミティブな感情が全面に押し出されていて、見ていて華やか。そして楽しくなってしまうもので、物語を締めくくるに相応しいものであったと思う。
とまあポールダンスショーパートについて述べてきたが、文芸面の話をしておくと御子白ユカリが絶対的に正しい存在として描かれている点が非常に良かった。
ポールダンスと真摯に向き合い、「絶対王者」という期待に応えるべく常に上を目指し続ける彼女は絶対的に正しい。それはヒナノとの過去についてもそうで、言葉選びの問題はあるものの言っている事それ自体は全く間違っていない。
そんな「正しいユカリ」だからヒナノに執着している理由が良かった。
完璧存在であるユカリをある理由から惑わせるヒナノ。最高か。あと腹筋フェチは多分好きだと思います(物語が進むに連れて腹筋に影が入っていくので)。
できれば続編を見たいのであと何回かは見ておきたいし、興味がある人は是非見に行ってほしい。

あと公式チャンネルで、「実際の映像と、モーションキャプチャーを比較した動画」とか上がってるので、興味がある人は是非。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。