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『アイドルランド・プリパラ』の「新しいプリパラを始めよう」にときめいた

『アイドルランド・プリパラ』の第一話の公開が始まりました。

私は有料先行配信の時に視聴していたのですが、やっと公開されたのでようやく言えます。
「『アイドルランド・プリパラ』、めっちゃ面白くない!?」

 発表された時から「続編ではないだろう」と思っていましたが、一話を見ると本当に「続編を作る」という気が全く感じられない。むしろ『アイドルランド・プリパラ』という作品を一から作ろうとしている感じがしてたまらないんですよね。
『プリパラ』というコンテンツに甘える気がないのは本当に凄いと言うか。「新しいプリパラを作ることこそが大事なんだ」という姿勢は素晴らしいなと思いますね。プリティーシリーズはこうじゃないと。

そんな『アイドルランド・プリパラ』の見どころですが、以下の通りになります。

『プリパラ』という作品の異物感

『アイドルランド・プリパラ』第一話を見て感じたのは、「プリパラ」と言う場所と、『プリパラ』の主人公だった真中らぁらを「香田澄あまりの世界に突然現れた異物」として描いている点です。
「らぁらを異物として描く」は『アイドルタイム・プリパラ』でもやっていることで、「プリパラは男子が行く場所」という空気が強いパパラ宿に暮らし、自身もプリパラに憧れる夢川ゆいにとって、パラ宿からやってきて「プリパラは女の子の夢を叶えられる場所」という価値観を持つ真中らぁらの存在は異物でした。
ですが、『アイドルタイム・プリパラ』の真中らぁらの描き方は明らかに「夢川ゆいと同じ価値観を共有する味方」でした。
パパラ宿では風変りな価値観を持つ夢川ゆいに「そうだよね」と共感し、彼女を導いていく存在が真中らぁらで、「パパラ宿の住民にとっては異物ではあったけれど、夢川ゆいにとっては味方」というのが『アイドルタイム・プリパラ』開始当初の真中らぁらでした。

今回の『アイドルランド・プリパラ』はそれとは違います。
まず「プリパラ」と言う場所の存在が忘れられ、神アイドルである真中らぁらの存在も香田澄あまりは覚えていません。
寮の屋根裏部屋に暮らしていて友達もいない香田澄あまりにとって、真中らぁらやプリパラの存在は「日常に突然現れた異物」なのです。

あの頃の貴方へ

この「プリパラを異物として描く」というアプローチや、まるで香田澄あまり以外にらぁらの姿が見えていないかのような描写などから見ても、『アイドルランド・プリパラ』の在り方は『プリパラ』『アイドルタイム・プリパラ』はまた別のものでしょう。
作品が向いている方向も「今の子供達」ではありません。もっと違う方向を見ていると思います。

ではどこを向いているのか? 誰に向けた作品なのか?

個人的な見解ですが、この作品が向いている方向は『プリパラ』『アイドルタイム・プリパラ』を見て、らぁら達と一緒に育ってきた「当時の子供達」に向けた作品なんだと思います。
『プリパラ』『アイドルタイム・プリパラ』は2018年に展開が一旦終了し、『キラッとプリ☆チャン』へと移行しましたが、現実の人間である我々は『プリパラ』シリーズ終了からも時間を積み重ねている。
その積み重ねた時間は『アイドルタイム・プリパラ』で華園しゅうか様のライブを見ていた小学生の香田澄あまりが、女子高生になるまでとほぼ同じぐらい。
そんな「我々と同じように時間を積み重ねてきた」香田澄あまりが、『プリパラ』の象徴的なキャラクターである真中らぁらと出会い、プリパラの記憶を取り戻す……という本作の導入部分は、『アイドルランド・プリパラ』という作品が展開されている事を知って「うわー子供の頃に見ていた!」と懐かしむ当時の視聴者と綺麗にリンクしてくると思うのです。
一種の同窓会みたいなノリなんですが、ただ懐かしむだけじゃなくて「ここから新しい『プリパラ』を始めよう」と展開していることが『アイドルランド・プリパラ』の興味深いところでして、とりわけ「『アイドルタイム・プリパラ』の夢川ゆいがいない」は凄いと思います。
それも「いない」だけじゃなくて「取り戻す戦いなんだよ」という設定の仕方にシビれますね。
コンセプトも設定も物語も、全部綺麗にハマっている。

ライブなどで『プリパラ』を応援してきた人達も意識したのか、「既に記憶を取り戻して、プリパラに来ている人もいる」という世界観の設定もいいですし、「かつてのメインユーザーを中核に据えつつ、それ以外もすくい上げ、一緒に盛り上がれる作品にしよう」という気持ちが全面に出ているのも面白い。
「ひょっとして、とんでもないことをやるのでは?」という気がして、ゆめワクワクしますね。

サイリウムハリケーン

また『プリパラ』『アイドルタイム・プリパラ』でも最大の見せ場になっていたCGライブパートですが、こちらもパワーアップしていましたね。
楽曲面では『プリパラ』と現在の音楽の流行を混ぜ合わせた「カオティックハリケーン」とか、そらみスマイルの神アイドルとしては初めての新曲となる「OPEN DREAM LAND!」とかも凄いんですが、やっぱり「サイリウムハリケーン」は凄いですね。「こうきたか」という驚きがある。
サイリウムハリケーンとは読んで字の如く、衣装チェンジである「サイリウムチェンジ」を竜巻を巻き起こしながら行う……という技なんですが、それで本当にアイドル達が飛ばされてるのが面白すぎる。

おそらく「アイドルは話題の中心→台風の目になるようなアイドルになる→じゃあ実際に台風=竜巻を起こしたら面白いのでは?」という発想から生まれたと思うのですが、映像的にも台風の目になっているので見どころしかないんですよね。

結びに

『アイドルランド・プリパラ』が発表されたのは昨年のウィンターライブでした。
発声禁止のライブの中、突然発表された時に漏れ出た歓声を今でも覚えています。
現地で知ったファンの驚きは相当のものだったことは、そうしたことからも分かると思いますが、今回の一話を見れば「あの時の声に応えるもの」ということは分かるかなと思います。
凄い作品でした。二話も、そしてゲームも早く触れてみたいですね。

なお0話も配信中なのでこちらもぜひ。
0話といいつつ、実際には二話に相当するんですが、森脇監督がこの構成にしたい!と言っていたらしいので、この構成で見るのが一番いいかなと思います。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。