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迷う一期生と憧れる二期生がLiella!になった瞬間 『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Season二話

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd season第二話が放送されました。
第一話が桜小路きな子がスクールアイドル部に入部する話なら、今回の第二話は桜小路きな子がLiella!の一人として認められる話でしたね。
スクールアイドル部の後輩ではなく、一期生たちと共にラブライブ!優勝を目指すLiella!のメンバーなんだ!ということを一話丸々かけて描いていて、一期生と二期生が相互にいい影響を与えながら成長する話を見た気がしました。

迷走する一期生

今回の第二話で大事なのは「迷走していくLiella!」ではないかと思います。
ラブライブ!優勝を果たしたサニーパッションが強敵としてLiella!の名前を上げたこと、それが噂を呼んでラブライブ!優勝候補として見られていること。
それらの理由から「Liella!は好きだし憧れてもいる。でもその中に自分が入ってもきっと練習についていけないから無理!」と距離を置く二期生達の姿は一話でも描かれていましたが、二話ではその恐れを飛び越えてスクールアイドル部に入部した二期生の桜小路きな子の「早朝から走ってる」「でも練習には全くついていけてないっぽい」という体験により「やっぱり厳しそう」という空気が二期生の中で支配的なものとなっていく様子が描かれていました。
「誤解」といえばそうなのですが、きな子がついていけてないのは事実。
そこで浮上したのが「目標をラブライブ!出場にして練習も放課後一時間だけ」というレベルを下げる案。
「厳しそう」と思われているから入部に躊躇する二期生が多い。それなら本当に厳しくない状態にすればいい……と言うのは安直なのですが、ネガティブな感情にこうした寄り添い方をしてしまうのも一期生達が「マイナスからスタートした子達ばかり」だからでしょう。
「自分は駄目なやつだ」と思っていたけど、スクールアイドルを始めた事で変わる事ができた。そんな体験があるから「厳しそう」とか「出来なさそう」みたいな始める前のネガティブな感情に寄り添い、グッとハードルを下げるような考え方をしてしまう。
そうした事をしなさそうなのは葉月恋ぐらいですが、彼女も「母親から継承した夢をこの学校に定着させたい」という思いがある。
結果、Liella!は目標を下げ、練習のレベルを下げるという「目的のために、自分達のやりたいことを断念する」ような方法を取ってしまうのです。

二期生が憧れたのは

そんな迷走する一期生に、「そうじゃありません」と待ったをかけるのが桜の小路きな子だったのは驚きましたね。そしてここが今回で一番良かった。
作中で言っているように、桜小路きな子が憧れたのはラブライブ!優勝を目指して、一生懸命に自分達の輝きを磨いて夜空で輝くLiella!なんですよね。ラブライブ!出場なんてレベルの低い目標を目指しているスクールアイドルでも、二期生を増やしたいだけのために自分達を磨き上げる時間を短くするスクールアイドルでもないんです。
彼女が憧れたスクールアイドルは周囲の期待を背負い、その期待を「ラブライブ!優勝」と言う最高の栄誉で応えるべく自分達をとことんまで磨き上げるスクールアイドルのLiella!なんです。
だからそういう存在であってほしい。そういう存在であり続けてほしい。
そう思うことは普通のことでしょう。だってそういう存在でなかったら、桜小路きな子はスクールアイドルに憧れることも、スクールアイドル部の扉を叩くこともなかったのですから。
そんなきな子の思いが一期生達にも伝わって目標も練習も元のレベルに戻ったのですが、この時に「きな子はここでLiella!に加入した」という描き方になっていたのが素晴らしかったですね。

また排水口を線に見立て、線のこちら側にきな子、向こう側にいる一期生達と配置することで、「かのんが駆け寄って線を超えてきな子を抱きしめる」が「きな子の心に近づく」という意味合いになり、「一期生に呼びかけられたきな子が線を超えていく」が「きな子がLiella!に正式加入した」という意味合いになってたのも熱いところですね。

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ベタといえばベタな演出なんですが、ラブライブ!シリーズってこういうベタな事をあえて真正面からやることでその力強さを印象的なものにしているので、「らしさ」がある良い演出だったかなと思います。

新生Liella!の形

また今回のエピソードから「九人体制となるLiella!の形」が朧気ながらも見えてきた気がします。
「五人から九人になる」「ユニット内に一期生と二期生がいる」は2nd Season開始前から分かっていましたが、「どういうユニットになるか」は未知でした。私としては「一期生は1st Seasonで一つ物語を終えているので、一期生が二期生を引っ張っていく形になる」という予想を立てていたのですが、今回のエピソードを見ている限りではそうではなく「一期生は一期生の視点で、二期生は二期生の視点で意見を出し合い、それぞれの理想とするLiella!をすり合わせながら近づけていく」が「これからのLiella!」のようなんですね。
一期生が迷走したら二期生がそれを正す。一期生は二期生の意見を汲んだ上で、総合的なレベルアップを狙っていく。
こういう相互関係をベースにしたスクールアイドルユニットって『ラブライブ!』では初めてのことだと思うんですよね。
Aqoursもそういうところはありましたが、あちらは主は高海千歌達でかつてスクールアイドルだった三年生はフォローに回るのが基本だった。先輩-後輩の概念をしっかりと組み込んだ上でそれぞれの立場からLiella!を支え合うのはラブライブ!史上初なのではないでしょうか。
そしてこうしたビジョンを二話で出せる辺りに並々ならぬ覚悟と、ディスカッションしてきた時間を感じますね。どれだけの時間を重ねたら、二話の段階で「こういうスクールアイドルユニットにします」を出せるのだろう。

まあまだ二期生は一人だけなので、これからキャラが増えて二期生の中にも「理想のLiella!」が増えていけば多面的な議論になるので楽しみですね。

結びに

地味な話なんですが、葉月恋が述べていた「文化の定着」も気になります。
『ラブライブ!スーパースター!!』の舞台は「音楽学校を前身に持つ新設校」で、スクールアイドルの文化はその音楽学校時代から引き継がれてきたもの。それを改めて定着させようとしているのが葉月恋であり、Liella!なんですが、今回の二話を見る限りではその「Liella!らしさ」が「変わっていくもの」のように感じられる。これを定着させるのなら、芯のようなものが必要だと思うのですが、この辺りの「ここは変えてもいいけど、ここは絶対にダメ」みたいなものが今後描かれるのでしょうか。あと「定着させる」も、一期生たちがいなくなった後も描かないと「定着」とは言い難いので、そこも踏み出すか気になりますね。

何にしても2nd seasonに入ってからは「個人」というよりは「Liella!としてどうするか」が描かれることが多くて、三話以降も楽しみです。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。