ランス10

『ランス10』をクリアした

この年末年始に「まとまった時間が確保できたら取り掛かる」と2018年から宿題にしていた『ランス10』に取り掛かり、そしてクリアした。
寝食を忘れるほどとは言わないまでもそれなりに熱心にプレイし、その難易度の高さ(と絶望的な戦い)に何度も「いや無理だろ」となりながらも、総プレイ時間100時間ほどでどうにか第二部まで辿り着くことが出来た。
なるほど。2018年にやっていた人達があれだけ面白いゲームがあった一年にも関わらず、「ランス10はちょっと別。既存のゲームと並べて語るのはおかしい」となっていたことも頷ける。別格の面白さであり、もはや比べることすらおかしい。
29年続けてきたシリーズが完結したことの重み。
その重みと尊さを考えれば「比較できる」と考える方がおかしいだろう。『ランス10』は本当に別格の面白さだった。

ランスシリーズの魅力

そもそもランスシリーズの魅力とはなんだろうか。
登場するキャラクター達の魅力、理解が深まれば深まるほど難易度が下がり面白くなっていくゲームシステムであること、ゲームであることをある種のパロディにした世界観に、「今度はどうなるんだろう」とワクワクさせてくれるシナリオ……。
どれを見ても「ランスシリーズの魅力」とするには申し分ないものだが、あえて一つ「ランスシリーズの魅力」を取り上げるとすれば、やはり「主人公のランスが滅茶苦茶魅力的」というところになると思う。

『ランス』から『ランス10』までの29年間をその身一つで駆け抜けた「ランス」という主人公は、良く言えば「体が大きくなったガキ大将」で、悪く言えば「傍若無人な男」だ。
冒険する大体の理由は「美女を抱くため」だし、行動原理も「女の子とエッチするのだ!」と非常に分かりやすい。シリーズが進むにつれて女性に対するアプローチのかけ方もマイルドになっているが、それでも相当無理矢理なところがあって傍若無人さはそれほど変わっていない。
そんなワガママな男がなぜ主人公として魅力的なのかというと、「自分の女を守る」という唯一無二の目的のためならランスは真剣なのだ。
自分の女を傷つけるものがあれば容赦なく切り捨てるし、「何とかしなければならない」とわかっているのなら全力で突き進んで本当に何とかしてしまう。
その「女のために」と命を賭けるランスの姿がたまらなく魅力的だったし、そんな「ランスの冒険譚」は毎回楽しくて新作をプレイするたびに「今回もランスは最高だった」という気持ちにさせてくれた。

そしてランス10

そんなランスの最後の冒険となった『ランス10』は「決戦」という二文字や、パッケージからも分かるように本当に「最後」の物語だった。

『ランス10』は魔人同士の勢力争いはケイブリスの勝利に終わり、一人の魔人の元に束ねられた魔物達は人間の勢力圏内へと侵略してくる。そんな魔物達の侵攻を食い止めるべく人類軍の総統になったランスは、自分の女を守るためにケイブリス達魔人と戦うことになる……というところから始まる物語なのだが、最後を締め括ったのが「ランスとシィルの冒険譚」なのはずるすぎるだろう。
「ランスが最も大切にしているのは奴隷であるシィル」「でもランスはその辺りに素直になれない」ということはシリーズをプレイしているものなら、誰でも理解していると思う。
だから「ランスがシィルに自分の想いを伝えたときがランスシリーズの最後」ということはわかっていたと思うのだが、まさか『ランス10』全体が「そのシーンのためだけに仕込まれた物語」だなんて予想出来ただろうか。

ランスがシィルのことを大切にしているということをこれまでの物語で理解していればしているほど、「これが見たかった……これを見るためにランスをやってたんだ……」という思いがこみ上げてくる。
正直泣いた。ああいう形で見せられるなんて思ってなかったので思いっきり泣いた。ズルすぎるでしょあれ。

その上できちんとランスらしく笑って終われる結末にしてきたところが本作を「傑作」に押し上げている。
ランスの告白は私が見たかったもの。
しかしその告白で終わられては面白くない。やはりシリーズを通して見せられてきた世界の仕組みそのものを蹴飛ばしていく痛快さにこそ、ランスという主人公の、そしてこのシリーズの面白さがあると思うのだ。

最後に

『ランス10』は本当にずっと最高だった。
「みんなで戦う」というコンセプトから生まれたオールスター感に、「設定が拾われた!」という驚き、やり込めばやり込むほど面白くなっていくゲームシステムに、最後を飾るに相応しい物語。
まさしく完璧な「最後の物語」だった。「ランスとシィルの冒険譚」の最後として素晴らしいものを見せてくれた。
もはやこの作品を語るのに相応しい言葉は「最高」以外の言葉は必要ないとすら思う。最高の作品だった。ランス10は最高の作品だった。
ありがとうランスシリーズ。ありがとうアリスソフト。
でも「えーアイツ使えないのー?」があったのだけは気になったぞ。





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