終わりゆく今だからこそ「『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』はここが凄かった!」と言いたい

1月20日に『プリパラ』及び『キラッとプリ☆チャン』が2月28日よりで順次稼働終了することが告知されました。

『プリパラ』は2014年7月10日より稼働開始してプリチャンと交代終了する形で一旦終了した後2019年10月17日より『プリパラ オールアイドルシリーズ』として再稼働を開始。『キラッとプリ☆チャン』は2018年4月19日より稼働開始ですから、稼働期間としては「十分すぎる」と言っていいでしょう。
後継作品となる『ワッチャプリマジ!』の登場で引退ということになるのなら「勇退」と言っていいんじゃないでしょうか。お疲れさまでした。
今後は『プリパラ』のみ公式ショップでプレイできるそうなので、プレイしたい場合はそちらに行くことになりそうですね。

さて。
『プリパラ』と『キラッとプリ☆チャン』に稼働終了が告げられてしまった今私が言いたいのは『プリパラ』も『キラッとプリ☆チャン』も「これだけ長期間稼働し続けられるぐらいには凄いゲームだった」ということです。
これほど長い期間、ファンに愛され続けてきたゲームが凄くないわけないし、そのゲームの稼働終了は結構重大な出来事なんですけど、その凄さはやってみないと分からないところが大きいので、今回はちょっとその辺りについて触れておきたいと思います。

筐体周辺まで計算に入れたゲームだった

『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』が凄かった点は幾つもあります。
自分のアバターとなるマイキャラでのアイドル活動、ゲームオリジナル楽曲のレベルの高さ、オンデマンド印刷機能により筐体から排出されるカード「プリチケ」が世界に一つだけの「自分のプリチケ」になる……。
凄かった点を上げ始めるときりがない程色々あるのですが、その中でも一番凄かったのは「ゲーム筐体の周辺までゲームデザインに組み込んでた」ということでしょうか。具体的には「トモチケ」とそれの交換「トモチケ交換」ですね。
『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』には「トモチケ(『プリ☆チャン』ではフォロチケ)」というものがありました。
このトモチケにはプレイヤー一人一人のマイキャラとQRコードがプリントされているのですが、これを筐体でゲームをする時に読み込ませるとトモチケにプリントされたマイキャラと一緒にライブを行う事ができるんですよ。
このトモチケを交換することを「トモチケ交換」と呼び、アニメでも主人公達が交換しあう姿が何度も描かれておりましたが、このトモチケ交換によって、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』の筐体周辺はユーザー達が盛んに交流を行い、トモチケを交換する場所となったんですよね。
だって『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』をやりにきた!ということはトモチケを持っているわけですから。仮に手持ちがなくても筐体ですぐに手に入りますし、そもそも自分のトモチケは自分で使用することは出来ないので誰かと交換した方がいい。途中からは公式も「トモチケ交換ボード」を設置するなど、「対面以外での交換方法」も考案されていました。
こうした「筐体周辺を『好きな人達の交流を行う場所』にしてしまうゲームデザイン」は、私にとって衝撃的でした。
ゲームを通じたコミュニケーションは昨今よく見られるものですが、「ゲームを通じて誰かとつながる」ということそのものを遊びとして提供し、筐体周辺を「プリパラ(プリ☆チャン)が好きな人達の遊び場所」にしてきたのは自分の中ではあんまり類似例がなくて、初めて見た時は衝撃と感動を覚えました。

で、この「プリパラ(プリ☆チャン)がある遊び場所」に行くのが何より楽しかったし面白かったんですよ!
いつもいる子もいれば、たまに来る人もいる。自分のように昼間からやりに来ている人間もいるし、夕方ぐらいには仕事帰りの人達がスーツ姿でやってたりする。
そういう人達が「トモチケ交換します?」で繋がれてしまうのは凄いですよ。だって大人も子供も関係ないですし。
ただ「プリパラが好き」「プリ☆チャンが好き」というだけで色々な人達と成立するコミュニケーションって、地味ですけど物凄いことだと思うんですよね。

タカラトミーアーツが玩具メーカーだったから「筐体周辺をプリパラやプリチャンにしてしまう遊び」としてトモチケ交換が生まれたのだと思っているのですが、いずれにせよこの発明があったから『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』は面白かったんだと言いたいですね!

アニメで見たらすぐにプレイできるアプデ

また『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』はアップデートが頻繁に行われていたのも大事な点でしょう。
「第○弾」みたいなメジャーアップデートは二ヶ月に一回ほどでしたが、マイナーアップデートはそれよりもずっと短い周期、それこそ下手すると毎週に近いペースで行われていましたね。
「アップデートが多い」ということは、それだけ「遊べるコンテンツが固定化されにくい」ということで、私の中では何だかんだでプレイするために定期的に通うゲームになっていました。
特に「アニメの最新話で初めて披露されたものが、翌週にはプレイできる」みたいな状態を作れていた点は評価したいです。
アニメで見て圧倒されたライブ、かわいいやカッコいいと思ったものがメジャーアップデートを待たなくてもいいどころか、「数日待てばゲームでプレイできる」って凄くないですか。
それでいてメジャーアップデートはメジャーアップデートで新曲の追加や新キャラ、新アイテムの実装なども行っていて品質は落ちていない。むしろ「新しく出来るようになったこと」が増えるアップデートを何年も行っている。ちょっと凄すぎると思うのですが。
またアップデートがここまで盛んにおこなわれるからこそ、アニメの展開に合わせて「このキャラクターは一時的に使えなくなる」「戻ってきたので使えるようになる」みたいなことを行っていたのも面白かったですね。
「アニメを見ているともっと楽しくなる」が出来たのは通年の作品だからこそなんじゃないかなと思います。

余談ですが、『プリ☆チャン』三年目は感染症予防対策を呼びかけるために、「距離を開けて並ぶこと」「手洗いうがいをすること」をスライドで表示。子供たちに呼びかけていたのも良かったです。

「やってみた」を発生させる

『プリ☆チャン』からは「歌ってみた」ということで「LOVEマシーン」や「インフルエンサー」のカバー曲がゲームでプレイできるなど「youtube」「SNS」といった題材を活かした試みが面白かったですね。
特に「U.S.A.」は流行歌となった2018年末に実装されており、「今年の流行歌を今年のうちにプレイできる」という面白さが凄くて、「歌ってみた」の可能性を感じる展開でした。

また「限定会員証」や「ご当地会員証」も面白い試みでした。
『キラッとプリ☆チャン』からは筐体で作成できる「会員証」からマイキャラを呼び出していたのですが、この会員証のデザインには「コラボ限定の会員証」や「地域限定の会員証」があって会員証一つとっても面白い作品でした。
特にご当地会員証は大人ユーザー的にはライブやら仕事やらで他地域に行った時に「ちょっとやっていくか」となる理由になるなど楽しかったですね。
『プリ☆チャン』からは東京駅にも公式ショップが設置されていたので、毎年二回程度開催されていたライブに遠征でやってきた人達も発行しやすいなど上手な流れが作れていたかなと思います。

『プリ☆チャン』稼働中に復活した『プリパラ』では、放送終了後のライブで追加された楽曲がプレイできるようになるなど、こちらも「放送終了した作品の動き」としてはあり得ない展開をしていたのも押さえておきたいですね。
かつてタツノコプロの依田健Pは「今は放送や商品展開の終了を作品終了として考えなくていい時代」と表現していましたが、メインプラットフォームの一つであるゲームで微々たるものであっても更新を続けることで「終わってないんだぞ」とアピールしていた『プリパラ』は何だかんだで凄い作品なんですよ。こうした歩みが今年リリース予定のアプリ『アイドルランド・プリパラ』につながってるんじゃないでしょうか。

結びに

『プリパラ』と『キラッとプリ☆チャン』の稼働終了のニュースを見た時に思ったのは「よくここまで稼働してくれた。お疲れさまでした。ありがとう」という気持ちでした。
『プリパラ』にも『キラッとプリ☆チャン』にも思い出がたくさんあるんですよ。
ほしいコーデが出るまで連コインした記憶とか、そのコーデでプレイしてたら他のユーザーに話しかけられた思い出とか、あと友達とトモチケ交換したりとか、そういう思い出がいっぱいある。
『プリパラ』を初めて触った時の「傑作が来たな」という確かな手応えとか今でも忘れられないです。あの手応えがあるから『プリパラ』も『キラッとプリ☆チャン』も今日に至るまでプレイできて、後継作品となる『ワッチャプリマジ!』を楽しんでプレイする事ができたんですから。
なので、私にとって今回の話は寂しさもあるけれど「お疲れさまでした」で「ありがとう」なんです。
終わってしまうことは寂しいけれど、それでも二作品が紡いできたものは確かに私の胸の中に、そして『ワッチャプリマジ!』の中にあるので「お疲れさまでした。そしてありがとう」なんです。
本当にありがとう、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』。
さよならは言わない。「さよならだけど、さよならじゃない」の精神でこれからも応援していきます。

最後に。
両作品で主役を務めた方達を引用して結びの言葉とさせていただきます。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。