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『ウマ娘』ツインターボの「諦めない」が最高だった育成シナリオの話をさせてほしい

『ウマ娘プリティーダービー』の育成ウマ娘としてツインターボが実装されました。その件については実装前日に色々書きましたね。

無事に星4にすることが出来ましたので早速育成シナリオを読んだんですが……これはもう「大傑作」と呼んで良いんじゃないでしょうか!
『ウマ娘』で面白いシナリオには「モデルになった競走馬を上手に脚色したもの」や「後世に至るまでの影響を巧みに演出したもの」など色々ありますが、ツインターボの育成シナリオは「ウマ娘のツインターボだから熱い物語」であるとともに、あるテーマによって「2023年の競馬」に上手に接続することで歴史を感じさせる凄まじいシナリオになっているんですよ!
もう読んでいる最中、ずっと「面白すぎる」「泣ける」と言ってたんですが、これはちょっと凄いので書き残しておきます。星1なので皆も読んで。

ツインターボとトウカイテイオー

ツインターボの育成シナリオを一言で表すのなら、「アニメ二期のリメイク」でした。
アニメ二期を簡単にまとめると「度重なる故障に苦しみながらも、ライバルとの再戦の約束やチームスピカの仲間達の支えやファンの応援を受けて、不治の病で心が折れてしまったメジロマックイーンに『奇跡は起きる』ということを証明するべく、約一年ぶりに有馬記念に挑む!」というあらすじで、「トウカイテイオー奇跡の復活」を描いた物語となります。
物語の中心にいるのはトウカイテイオーとメジロマックイーン。ツインターボも「トウカイテイオー復活の鍵となるキャラクター」として位置づけられているためアニメ二期にも登場しているのですが、ツインターボとトウカイテイオー二人の物語はどちらかといえばサブエピソード。
メインエピソードに合流する「オールカマーを大逃げして勝つツインターボに諦めないことの大切さを教えてもらう」が、ツインターボとトウカイテイオーの物語のクライマックスとなっていました。
先に述べたように、ツインターボの育成シナリオはこのアニメ二期をリメイクしたものなんですが、「どうリメイクしたか」というと「ツインターボとトウカイテイオーの物語」としてリメイク。
才能に恵まれた天才トウカイテイオーに絶対に諦めない凡才ツインターボが挑み続け、諦めない想いに触発され、ツインターボと有馬記念を走るためにトウカイテイオーは復活を果たすのです。
「何が良かったか」ってツインターボの「絶対に諦めない」を全面に押し出している事なんですよ。
作中で述べられているように、ツインターボは気分屋で小心者でゲート難なので決して才能に恵まれているとはいえない。それでも彼女はトウカイテイオーと走りたいと思っている。無謀と言われても諦めずにシンボリルドルフの伝説に挑む覚悟をしたトウカイテイオーと一緒に走りたいと思っている。
そのために彼女は努力するんですよ。絶対にテイオーと走るんだ。だってターボとテイオーは終生のライバルだから!って。
そんなツインターボの「諦めない」という思いが色んな人やウマ娘を動かし、トウカイテイオーとの有馬記念に繋がる展開はアニメ二期とは別の「奇跡の復活」になっていて、アニメ二期からツインターボを好きになった人間としては感動しましたね。
テイオーがターボを終生のライバルとして認める展開も「ツインターボとトウカイテイオーの物語」として再構築したからこそ見れた最高の景色でした。
まあその有馬記念はトウカイテイオーが走った1993年だけじゃなくて、ツインターボが走った1994年とかも混ざっているので、アニメでも「有馬記念出走ウマ娘」として登場していたウマ娘だけでなく1994年でツインターボと走ったナリタブライアンやヒシアマゾンも登場するので本当に夢のグランプリレースすぎるんですが。

ツインターボと仲間達

ツインターボの育成シナリオでトウカイテイオーと同じぐらい重要なのは「チーム」の存在かなと思います。
「ツインターボでチーム」というと、ナイスネイチャとイクノディクタスとマチカネタンホイザ……つまりチームカノープスが思い浮かびますが、チームカノープスはアニメオリジナル設定なのでゲームアプリには存在していません。
ゲームアプリでは「ツインターボの走る姿を見て集まってきたウマ娘達が、トレーナーに誘われて空き時間にツインターボをサポートするようになる」という形でナイスネイチャ達が合流してチームが結成されます。
集まってくる理由は本当に様々で「凄いことをやってるから」「心配だから」「楽しそうだから」などなど。いずれにせよ「ツインターボに心を動かされたウマ娘達」であり、ツインターボと彼女達は互いに影響を与え合いながら共に三年間を走り抜けていくのです。
このチームで重要なのはやっぱり七夕賞かなと思います。
現実ではツインターボが勝利した重賞の一つですが、ゲームアプリ版では「勝ち切れない自分に自身を喪失した仲間達に諦めないことを教えるために走る」となっており、もう一つのクライマックスになってるんですよ。
「逃げて勝つ。そんなこと出来るわけがない」と走る前から諦めてしまっている仲間達。
そんな仲間達に「諦めなければきっと結果はついてくる」と言わんばかりに走るツインターボの姿は紛れもなくヒーローで、滅茶苦茶カッコいいんですよね。逃げ以外の作戦が選択不可であることも凄くて、読みながら二回泣いた。
そんなツインターボの姿を見て勇気づけられた者達を見せているからこそ「聖蹄祭のモニターをジャックして、ツインターボの姿をテイオーに見せるために協力する」とするアニメ二期にもあった展開に説得力がありましたね。

○○のツインターボ

ツインターボの育成シナリオについては概ね以上の通りなんですが、個人的に一番「やられた」と思ったのはエピローグでした。
イベントタイトルは「○○のツインターボ」。
はい、福島記念で大逃げで勝利した姿から「令和のツインターボ」と呼ばれ、昨日のサウジカップを逃げ切ったパンサラッサのことですね。
「パンサラッサ」という具体的な名前が出てきたわけではないですが、「天皇賞・秋」「ツインターボを彷彿とさせる走り」「キタサンブラックが観戦に来ている」と言う状況から見ても2022年天皇賞・秋であり、パンサラッサとイクイノックスの激闘を描いたシーンなんですよね。Cygamesは拾うのが早すぎる。

ただ「パンサラッサが出てきたから評価を上げている」というわけではなくて、私はここでパンサラッサの存在を出した理由にやられたのです。
その理由とは「受け継がれる感動」ということ。
競馬は血と歴史を受け継いでいくスポーツだと思っているんですが、受け継がれるものはそれだけじゃない。
「感動」も受け継がれていく。そして感動は血統だけに宿るわけじゃない。
その感動をド真ん中に据えたあのエピローグは凄いと思うんですよ。
今までもそれに近いものは描いてきていますが、現実と接続した上で「受け継がれる感動」を述べ、「これも面白いんだ」で締めくくるのは反則級の大技でしょう。
負けです。完全にやられました。

結びに

アニメ二期で好きになってからゲームアプリでツインターボが実装されるまで。
丸二年近くの時間が過ぎているわけですが、ツインターボの育成シナリオを読み込んだ今なら自信を持って言えます。
「待って良かった」。
シナリオが待たされた時間に見合うぐらい素晴らしいものだった、というのもありますが、何より二年間に現実の競馬で起きたアレコレが育成シナリオに反映されることで生まれるパワーが凄い。
それも現実を引用するだけでなく、ツインターボの物語全体を貫くテーマである「諦めないこと」と「受け継がれる感動」を織り交ぜた上で「接続」している。それに今度は私自身が「現実での光景を見ていた側」になっている。
そこのパワーには勝てませんよ。
だってそれ、分かるもん。元ネタも、作中で述べられるその感動も、分かるもん。自分自身が感じたものを上手に脚色されたら、それもう「絶対面白い」なんですよね。
ありがとう、Cygames。ツインターボが好きで良かったよ。
ところでツルマルツヨシとかシリウスシンボリとかにも期待していい?

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。