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「プリティーシリーズ Crossing Live 2024」は可能性の扉を開くライブだった。

私がプリティーシリーズのライブ公演に足を運ぶようになったきっかけは、2015年の「プリパラ クリスマス☆ドリームライブ」だった。
シークレットゲストでファルルと紫京院ひびき様が登場したあのライブに感動し、以降は毎年末のシリーズ合同ライブだけは欠かさずに参加するようになった。
それから9年。あれからの時間はプリティーシリーズも「歴史ある」と言ってもいいほど長いシリーズとなり、作品数も増やし、登場するキャストはもっと増えた。
それにより今年のシリーズ合同ライブも『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』『ワッチャプリマジ!』に加えて、シリーズ最新作で現在展開中の『ひみつのアイプリ』が参加する形となり、そのせいかどうなのか12月開催ではなく11月開催となった。
こちらとしては「『ひみつのアイプリ』も出演するプリティーシリーズの合同ライブ」と聞いては黙って見ているわけにはいくまい!という心構えであったのだが、今年のライブは一味違ったライブになっていた。
なんと今回は「作品の垣根を超えたライブ」をメインテーマにしたライブイベントだというのだ。
これまでとは違う試み!
ライブへのカウントダウンに合わせて「このキャラクターとこのキャラクターがライブします!」など期待感を煽るプロモーション!
『ひみつのアイプリ』自体の大きな盛り上がり!
それらのおかげで大きな期待をしながら11月16日にパシフィコ横浜へと向かったのだが、まさかあそこまで面白くて楽しくて、凄いライブになるとは思ってなかった。
「無限の可能性を感じさせるライブ」は久々かもしれない。
そう思えるライブだった。

可能性が拡大させたライブ

今回のクロッシングライブはシリーズにとって革新的なものだった。
キャラクターとキャラクターの掛け合い、この歌をこのキャラクターが歌うことの意味が盛り込まれており、一回限りにしておくのは勿体ないと感じるほど面白いライブしかなかった。
「作品の垣根を超える」とはこういうことなのかと思わされたのだが、なぜそれが面白いものだったのかというと、それはプリティーシリーズは「チーム」や「デュオ」という概念が強いシリーズだからだ。
これは中興の祖である『プリパラ』がそういう作品だった部分が大きいのだが、以降の作品でも「チーム」や「デュオ」は基本形として継承されており、プリティーシリーズの一つの特徴となっている。
それはライブイベントにおいても同じであり、その「チーム」「デュオ」の概念の強さが現実のライブにも様々な面白さをもたらしてきた。
その一方、「担当しているキャストが不在」であるということで「ライブでまだ披露されていない楽曲」「数年単位で披露されていない楽曲」が多いという状況を招いている部分もあった。
そうした部分には、毎年参加している身としてもライブそのものの楽しさや面白さとは別のところで「残念」と感じる部分が少なからずあったのだが、しかし今回の『クロッシングライブ2024』は違った。
「クロッシング=作品の垣根を超える」をテーマにすることで「オリジナルを尊重しつつ、いつもと違う形で披露する」に挑んだのである。
これがとても良かった。
「今年も聞けないだろう」と思っていた楽曲や、予想していたが組み合わせが予想外、同じ作品の楽曲だけど一度も歌っていないキャラクターの参加など、期待を大きく上回るものを見せてくれた。
振付を一部変更することでオリジナルの良さを蔑ろにしているわけではなく、またキャラクター同士のやり取りを挟む事で「この組み合わせでしか出来ないもの」を作り上げていた点も素晴らしかった。
特に皇あまねと東堂シオン、甘瓜みるきと金森まりあは楽曲の方向性は全く変わっていないのに、振付のおかげで楽曲の解釈の幅を広げる事に成功していたんじゃないかと思う。
今後は「クロッシングライブセクション」みたいな感じで残してもらえると嬉しいし、「最近やってないアレが見れるかも!」という期待も出来るので残してほしい。頼みます偉い人。

とりあえず「萌黄えもとライブをしてたことがバレる心愛れもん」と「甘瓜みるきがどれだけかわいいアピールをしても森羅万象のかわいさで押し通す金森まりあ」と「萌黄えもへの当てつけで甘瓜みるきとライブすることを提案する赤城あんな」が公式で出てきたのは凄いと思いました。
こういうのもクロッシングライブの醍醐味かもしれない。あんえもの喧嘩はよく見ますが(大体アドリブ)。

アイプリは凄い

『ひみつのアイプリ』は今回の『クロッシングライブ2024』が初めてのライブとなる。
出演キャストが全員参加なので最新話までに使用された楽曲はOPとED以外は全て披露されたのだが、本当に聞いていて楽しい楽曲ばかりだし、作中コーデをしっかりと再現しているから思わず見入ってしまうしであっという間に終わってしまった印象が強い。
楽しすぎて一瞬、子供向け作品らしいといえばらしいのかもしれない。
アイスマイリンの「ネバギバラバー」は初披露時から「ライブでやったら絶対面白いだろうな」と思っていた小学生の算数みたいな掛け合いが本当に滅茶苦茶楽しかった。
その後のタマキのサクラ推し、アイスマイリンの互い推しの後に「私のひまり」とぶち込んでくるみつきも大変素晴らしく、「これがアイプリだなぁ」と楽しませてくれたのだが、やはり『プリパラ』のそらみスマイルとシオンとレオナが出てきてからのやりとりが本当に素晴らしかった。
同じシリーズの先輩と後輩のやりとりになっていて、『プリパラ』がそういう「先輩」になれたことが良かったし、先輩の言葉に耳を傾けるアイプリ組は「後輩」をしっかりしていたと思う。特にサクラは作中だと「先輩」なので、「後輩」をしているところが初々しかった。
その後のシークレットフレンズ∞とカルテットスターの楽曲披露から、「プリパラとアイプリの主役ユニット同士によるクロッシングライブ」の流れは、『プリパラ』が最初の映画の際に先輩達にしてもらったことを後輩に返しているようなライブで、10年以上シリーズを追いかけてきた人間としては筆舌に尽くしがたい感動的なライブだった。
「シリーズが続いたから見れたライブ」であり、舞浜アンフィシアターで「来年も見たいな」と思った当時の自分が召されるだろう景色を見れた幸運と、作り上げてくれた人達に感謝したい。

10年近く続けてきたことの意味

個人的な話になるが、今回の『クロッシングライブ』ではファミリー席が復活し、ライブ会場に親と一緒に参加した子供の姿を見かけることが多かった点も良かったと思っている。
なぜなら私や大人がどれだけで好きであったとしても、『ひみつのアイプリ』は今の子供達に向けて制作された作品だからだ。
今の子供達が夢中になっていないのならそれは意味がないことなので、ライブ会場で見かけるぐらいに『ひみつのアイプリ』が今の子供達にとって大切な作品になっていることはとても喜ばしいことだと思う。
会場内で行われていたひみつのアイプリ部との撮影会も列が出来ていたし、キャストの子供への声出し煽りも声がはっきり聞こえるぐらいだったので、それぐらいには「アイプリが好き!」という子供がいることを確認できて、シリーズをずっと見てきた人間としては本当に良かった。
筐体のカード完売が頻発するようになったり、家電量販店の玩具売場の一角にコーナーが出来始めたりと「当たってる手応え」はあったけれど、こういう場所で反応を拾えると「本物の人気」を感じる。
また女性率が上がってきたのも良かったと思う。
『プリパラ』が十周年なので、その流れで「かつてプリパラが好きだった子供達」が戻ってきている気配はしていたが、ライブ会場の空気としてもそういう空気だった。
10年近くやり続けてきたからこれだけ色々な人がいる現場が作り上がったのだと思うのだが、おかげで会場前で通りすがりの通行人に「何のライブですか?」と尋ねられるイベントが発生した。面白すぎた。

終わらない楽しさ

ライブが終わって二日以上経過してもなお、私は「今回のライブは楽しかったな」という余韻の中にいて、その楽しさに浸りながらコレを書いている。
心地よさがこれほど長く続くとは思っても見なかったが、これは「期待してたもの」と「予想外のもの」と「予想すらしてなかったもの」があったからに他ならない。
期待していたのは『ひみつのアイプリ』で、予想外だったのは「振付まで変えてきた」ということで、予想すらしなかったのは「キャストがいないから見れないだろうと思っていた楽曲を見ることが出来た」なのだが、これらが二時間ほどの公演時間の中でバランス良く配置されていた点が素晴らしかった。
その上でシリーズをここまで押し上げた『プリパラ』と最新作である『ひみつのアイプリ』がクロッシングして、『プリパラ』から『ひみつのアイプリ』へ、先輩から後輩へのプリズムの煌めきの継承を行い、一緒にライブまでやってしまう。
面白いに決まってる。楽しいに決まってる。
それを見ることが出来て、本当に幸せな二時間だった。
それとやはり嬉しかったのだ。こうして最新作があるということが。
プリティーシリーズは一度アニメシリーズが中断したわけだが、そこからの再起を図った『ひみつのアイプリ』が一年で結果を出して、シリーズ合同ライブで大きく取り扱われて、シリーズを一緒に楽しむ新しい仲間のように扱われて。
去年発表された時点では本当にここまでの絵は想像していなかった。なのであれから一年でこういう景色が待っていたことがただただ嬉しかった。
面白くて、楽しくて、嬉しい。そんな二時間。
それが実現出来たのは、好きでいてくれた人、好きになってくれた人がいたからだし、『プリパラ』の10周年で戻ってきてくれた人達もいるからだと思うので、「こういう景色がまだ見られるんだ」というのは本当に幸せなことだと思う。
こういう景色を100年先1000年先も見られるのなら、意外と良い世界なのかもしれないと思うので、予想された通り『ひみつのアイプリ』二期も決まったし来年以降も楽しみにしていきます。
あと菱田正和監督と芹澤優が熱望しているので、プリティーリズムの参戦も出来たら……。
KING OF PRISM名義で『プリティーリズム・レインボーライブ』だけ参戦が一番早いかもしれないけど!

MVP

「この年齢になって新しいアイドルをやらせてもらうことがあるんですね!」と弥生ひな役内田彩、香田澄あまり役飯田里穂に言い放つ、つむぎ役の久保ユリカ。

個人的には『アイプリ』組は相方を推す流れがあるけど、「うちのサクラが!」や「ウチのリンリン」はともかく「私のひまりちゃん」と言い放ったみつき、avexの偉い人に陳情するいつもの流れで「男プリともクロッシングライブをやらせてほしい」と述べる皇あまね役庄司宇芽香も良かったです。
あとやっぱりいじられる方が似合うなサクラさん……。
そして「一番の歓声を浴びる真実夜チィ」と「作中と身長差が大体同じカルテットスター」は良かったです。

(細かい楽曲単位の感想についてはこの後書きます……)

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九条水音
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。