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貴方と同好会で重ねたものと新たな旅立ち──『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2nd Season 12話

互いに励まし励まされてやってきた二人

『2nd Season』の最後を飾ったのは上原歩夢と高咲侑の物語でした。
『1st Season』で二人が優木せつ菜が最後のつもりで行ったゲリラライブを見たことからこの物語が始まり、今日の「スクールアイドル・上原歩夢」「同好会の作曲家・高咲侑」があるわけですから、この物語を締め括るに相応しいのは二人の物語だと言われるとどこか納得できるところがあります。
そしてその最後を締め括る物語のテーマが「例え離れたステージに立っていても心はいつも繋がっている。いつも一つのことを考えている」というのも『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』らしい展開なんじゃないでしょうか。

個人的に注目したいのは、上原歩夢と高咲侑の関係性が幼馴染であると共に「スクールアイドルとそのファン」として語られていることでしょう。
スクールアイドルから教わった「自分のやりたいことはとことんまでやってもいい」という精神で、ここまで自分のやりたいことを突き進んできた上原歩夢と高咲侑。
しかしやりたいことを突き進む中で、違う存在である二人の道は分かれてしまうことがある。スクールアイドルとファンであり、二人の人間である以上、それは当たり前のこと。
その当たり前を受け入れる物語が『1st Season』で描かれていましたが、『2nd Season』で描かれたのは「二人は違う道にいるけど、同じ方向を見て並んで走ってきた。でもその先は?未来の私達は、いつまでも同じ距離を並んで歩むことはできないのでは?」という一歩進んだお話でした。
『2nd Season』序盤で鐘嵐珠も同様の事を言っていましたが、これもまた仕方がないことんですよね。今はたまたま同じ場所にいて、同じ方向性を見ているだけに過ぎない。
だからこれから先、二人が同じように「やりたいこと」を突き進んでいけば違うステージにたどり着いてしまうことがあるかもしれない。それは二人が同じ人間、同じ存在ではない以上、どうしようもないことでしょう。
ただずっと一緒に歩んできた二人にはそれは寂しくて、そして凍えそうなほど寂しい。でも「やってみたい」と言う情熱は胸に熱を宿らせている。

離れていても心は一つ

そんな二人の悩みへの解答として、「離れていても心は一つ」という『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が何度も繰り返し描いてきたことが立ち上がってきたのは痛快で爽快でしたね。
『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』は「自分達のやりたいことを追求する」というコンセプトなので、スクールアイドル一人一人がそれぞれ異なるステージを目指している。一つのステージに立つ事はあるけれど、目指している場所はそれぞれ違うんですね。
それでも「私たちは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会です!」という意識を全員が持ち続けているのは「離れていても、相反する場所に立つことになったとしても、私達は<<虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会>>の仲間なんだ」を共有しているからこそでしょう。
そのことは『1st Season』でも『2nd Season』でも描かれてきましたが、このテーマを「スクールアイドル」だけでなく、もっと広範囲、それこそ「同じ時間を共有した人達」「同じものが好きな人達」まで拡大して、「私達はどこにいても仲間なんだ」という方向性でまとめ上げたのは素晴らしかったです。
例えこの作品が終わったとしても『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』と言う作品が好きで、共に過ごした時間が仲間にしてくれているような。そういうエモーショナルな気持ちにさせる良さがあったかなと思います。
またそういう話を「ラブライブ!に出場するスクールアイドル/出場しないスクールアイドル」「ラブライブ!予選会場の学校の仲間/会場にいない学校の仲間」といういくつものレイヤーに分かれた関係性の中でやっていたのも凄い。
総じて『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』という作品の最後を飾るに相応しいエピソードだった気がしますね。

一話丸々系

そんな『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の最終回は、新たな門出を記念した1stライブを丸々一話かけて描きそうな感じになっていて、ワクワクしております。
「一話丸々○○」って作品ごとのこだわりが感じられて面白いですからね!

「一話丸々ライブ」でまず最初に思い出されるのは、やっぱり『少年ハリウッド』でしょうか。
一期5話で一話丸々演劇回、10話で一話丸々音楽番組回を行うなど「アイドルの実在性」というものに果敢に挑戦し、あらゆる方向性から「少年ハリウッドというアイドルが確かにいたこと」を見せてきた『少年ハリウッド』ですが、この作品の最終回は「一話丸々クリスマスライブ」という代物でした。

この一話丸々クリスマスライブは物語が描いてきたものと見事に合わさってファンからは高く評価され、「完全版にしたい」というスタッフの声により開催されたクラウドファンディングで制作された「クリスマスライブ完全版」は毎年クリスマスに配信されると、何だかんだでファンが集って同窓会のような空気になる一つの季節イベントとなりました。

映画とも相性がいいことから、こういう「メインストーリーはなしでライブや映像を見せていく」はちらほらあるのですが、『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム』は重要なところかなと思います。
「一本丸々ライブ」と言うコンセプトに忠実に、ステージ上の彼らを描くことに集中しており、また映像終盤のある展開は非常に面白いものでした。

「一話丸々ファンイベント」のような方向性だと、故郷と言う事もあって『KING OF PRISM ALL STARS -プリズムショー☆ベストテン-』は外す事はできません。

ファン投票で選ばれた10本のプリズムショーをランキング形式で発表していくイベントだったんですが、映画館で見るとそれはもうイベントのような面白さがあって最高に面白かったです。
新作として一条シンのプリズムショーが制作されるなど、「ファンに支えられ、またファンも支えられてここまでやってきた作品の集大成」として最高でした。

ここまでは男性アイドル物ばかりですが、女性アイドル物だと『アイカツ!ミュージックアワード みんなで賞をもらっちゃいまSHOW!』は大事ですね。

「アイカツ!の音楽イベントに参加する!」と言う形式の作品だったんですが、スマートフォンに専用アプリを入れて映画を見ると、映画の進行に合わせて画面が切り替わっていくという面白い試みがされていました。
「キャラクターの一人がマラソン形式で会場に向かう」という内容も、スマートフォンを見るとちゃんと居場所が変更されていて、本当にやっているかのように見えましたし、映画を最後まで見終わるとお土産として作中画像がもらえたのもよかったですね。

その他にはアトラクション形式だった『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』もあったり。

こういうのは面白いので、どんどんやってほしいですね。めっちゃ大変らしいですけど。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。