好きだった漫画がアニメ化したけど、もう見限った

九条水音

10年以上前に完結し、今も好きな漫画のアニメが放送開始となりました。
現在五話ぐらい放送されているのですが、私はもう既に「この作品が面白くなることはおそらくない。アニメ化されると発表された事が面白さの頂点であり、この企画で唯一面白いことだった」と見限っております。
見限った理由はいくつもあるんですが、一番大きかったのは品質の低さ。映像作品としても商業作品としても「人の前に出せるレベルだろうか」と言いたくなるぐらいにひどい。近年ではなかなか見ないレベルのアニメだったので、「ここから更に面白くなる」ぐらいしか原作のエピソードを消化していないのに見限ってしまったのです。

演出が煮詰めきれず平坦

今話しているアニメ化作品で大きく失望したのは演出が平坦であること。
起伏がない。メリハリがない。緩急がついていない。
この作品の映像面での評価はどれでもいいです。どれもが当てはまるぐらいにずっと同じ印象のシーンが続くので。どれもが正解になる映像ですから。
「原作を読んだ結果、映像的なメリハリよりも優先して演出する事があるものがあったのでこうした」というのなら、それはそれで良かった。
それは私とスタッフの解釈の相違であり、「こういう映像にするのか」と素直に受け止め、その違いを楽しむことが出来たでしょう。あるいは「解釈違い」として私が見なければ良い、話題にしなければ良い話です。
しかしながら私が好きで、今回アニメ化された作品はそうではない。
どこを見ても焦点がボヤケている。「何を描くのか」を定めきれてない。それは原作読者としても印象深いシーンにおいても同じで、演出を煮詰めきれてない映像がそのまま出される。
ただでさえ全体的に動きがしょぼくて地味なのに、「俺ならこうする!!」という気持ちの一つもない映像を見せられても、どう反応していいのか分からない。
「面白くないです」以外の何を言えと言うんですか。

声優の演技も

上記に引っ張られているのか、声優の演技も特に面白くない。
主役は昨年大ヒットした週刊少年ジャンプ連載作品のアニメでも主役を務め、ハリウッドの大作映画でも主人公の吹替を担当した注目の男性声優で、ヒロインもコンスタントにメインキャラクターを取っていく実力者で、原作ファンとしても「今この作品をやるならこの人しかしないだろう」というぐらい納得できる女性声優だったのだが、まあ面白くない。いつもの60%ぐらいしかその実力を発揮できていないように思う。
これは当たり前の話で、声優は監督や演出家、音響監督から「どういう演技を求められているのか」「それに対して自分はどう返すのか」で演技を組み立てていくので、上述したような「どういう方向性で演出していくのか煮詰まり切ってない状態」だと声優も「どう返すのか」を検討し、調整していくのは難しい。結果、「そこそこの演技」で止まってしまうのは当然かなぁと思ったりします。
それでもたまに「このキャラクターっぽいなぁ」と部分的に感じる演技をしているので、やっぱり人気声優は凄いですね。この作品で一番頑張ってると思います。

原作から変えた部分の意味

じゃあ原作ファンとしてはどうなのか、というとやはり擁護できません。
一応原作通りの流れで物語は進行しているのですが、原作のエピソードを一部シャッフルしている点が全く理解できない。話の流れが変わるので意味が変わってしまっている。
具体的には原作ではA→B→Cの順番で物事が進行し、BでAで起きた出来事が一旦解決しているからこそCの展開が凄く良かったんですが、アニメだとA→C→Bにした結果、CもBも印象が薄くなっている。むしろCに至っては台無し感があるぐらいで、次話に跨ぐわけでもないのにこの変更をした意味が全く分からない。無駄では、この改変。
何も「全部原作どおりやれ」と言っているのではありません。話数も限られているTVアニメですから改変するのも仕方がないことだと思います。特に映像に向いてない漫画特有の描写なら削ったり改変することも当然のことでしょう。
ただ「仕方ない」と思えるかどうか。「改変する事が妥当かどうか」は大事だと思います。
件のアニメは妥当ではない。「手抜き」か「原作をよく読んでいない」か「時間が迫ってた」のどれかを思い浮かべる感じの改変を「大事では?」と思う部分で平気でやってくる。
主人公がヒロインに惹かれる理由を端的に表現した壮大で破壊的なカットも全体的にスケールダウンして「作画労力を軽減するためにやってんのかな」という感じでしたし、序盤で退場する主人公の兄貴分が残した言葉が原作の後の伏線につながる台詞が変更され、直後の展開の大事な部分を損なう台詞になっているのはよくわからない。
大人の事情というには、あまりにも最終日の夏休みの宿題っぽいやっつけ感があって、ファンとしては泣けてきますね。作者の漫画家デビューの○周年記念企画とかだったはずなんですけどね。

結びに

「作画が悪い」「原作の意図を読み間違えてる」など「酷いアニメ化作品」は数多くの例がありますが、自分がオールタイム・ベストの一つに上げるほど好きな作品がそれらに匹敵するレベルの作品になるとは思ってませんでした。それも「映像作品として見るに堪えないレベルの出来」という最悪な方向になるとは。
今の気持ちを一言で表すのなら、辛いですね。そして放送終了までの間、これが続くと思うと表情も感情も、心さえも消え失せます。本来なら喜ばしい「原作の最後までやります」と言う発言も、ここまで放送されたエピソードを見ていると全く期待できない。むしろ悪夢でしょう。

まあ何というか。
「ここが底辺だろうと思ったら、もっと底辺があった」ということを久しぶりに思い出させてくれたと言う意味では、価値がある作品だったのかもしれません。
原作を楽しんで読んでいた思い出ごと踏みにじられた気持ちになった経験を、これからの人生で活かせたら良いですね。そんな気持ちに二度となりたくない。

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九条水音

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。

九条水音
『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』に救われて以来、女児向けを中心としてキッズアニメを中心に見ているアイドル。女児向けアーケードゲームが好きなので定点観測しております。連絡先はmizune.moon.sounds@gmail.comです。