【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第24話
その後、行為を終え、清浄装置で篝の体を清めてから、腰を支えて青山は外に出た。
篝は気怠そうな顔をしている。
あんまりにも壮絶な艶を放っているものだから、非常に周囲の視線を惹き付けている。そうさせたのが自分だと思うと、少しだけ気分がよくなり、青山はそんな自分自身を不思議に思った。
そうして花火が上がった。
「あれが……花火……! すごい、綺麗……」
「――そうだな」
「連れてきてくれて有難う、青山」
それを聞いたとき、つい青山は篝の細い腰を抱き寄せていた。
まるで篝が自分のものだと誇示するかのように。
花火が終わるまでの間、ずっとそうしていた。
最近、時々青山は、自分の気持ちが分からなくなる。一緒に過ごす内に、篝の事が気にならないと言えば嘘になった。まだ篝の側は、恋愛ごっこすらする素振りは見せないが、なんとなく気になってしまう。たとえば不器用に料理をしていたのが、少しずつ上達をみせ、自分が美味しいと口にしたら、泣きそうなほどの笑顔を浮かべて喜んだ日の記憶など。
「花火は終わりだ、そろそろ帰ろう」
青山が促すと、篝が満面の笑みで頷いた。そしてまた二人で手を繋いで歩き出す。
ダン、と。銃声がしたのはその時で、青山は直後、隣にいた篝の胸から血が噴き出した現状を、上手く理解できなかった。
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