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大丈夫を食べて、安心を眺めた

こんにちは。ご無沙汰しております。
みなさんお変わりないですか。ぼくはそれなりに過ごしています。



やっと10月が終わってくれました。大学生の長くて穏やかな夏休みを終えて、1ヶ月間走り抜けました。まあまあしんどかった。

ずっと散歩を楽しんでいたのに、見えない誰かから「はいよーいドン!」とおしりを叩かれて、これは短距離走なのかなと思い全速力で走ってみたら、実はマラソンだった、そういう感じ。速度を落としたくても落とし方がわからず、寒暖差にくしゃみする日々でした。

昨晩、布団に倒れ込んだとき「明日は絶対にケーキを食べるぞ」と決めました。電車に揺られて街に出る。少々お高いカフェにひとりで行く。その後は気が済むまでぶらぶら歩く。絶対に絶対だ。何度も唱えながら目を閉じたら、次の瞬間には朝になっていました。

そういえば、10月は一日も遊びの予定を入れていませんでした。おめかしするのも久し振り。この時期に着る服の中でいちばんのお気に入りを身に纏い、かわいい色の靴下を履きました。外は菊日和です。



まっすぐ、ずんずんとカフェに向かいます。ショーケースの中できらきらと照らされているケーキを眺めて、ウムムと唸ります。これが楽しくて幸せ。しっかり時間をかけて悩み、白ぶどうのタルトとコーヒーを頼みました。

昔はカフェに行けば必ずチーズケーキを頼んでいましたが、最近は果物たっぷりのケーキを頼むことが多いです。瑞々しさを求めてしまいます。渇いているのでしょうか。

何はともあれ、コーヒーは苦くてケーキは甘い。どちらもえらいね、おいしくてえらい。ツツ、と飲むときは、心が温まっていくのを感じました。タルト生地をフォークで割るときは、サクリと幸せの音がするんですね。

実は、ぼくはひとりでカフェに行くのが苦手です。「無駄遣いをした」と思ってしまうから。自分のためにお金を使うのが苦手だから。でも今日は気持ちよく食べることができました。どうしてだろう。わからない。わからないけど、なんだかすごく嬉しい気がします。



カフェを出た後は、周辺にあるお店を眺めながら歩きました。文房具、本、雑貨、アクセサリー、服。ぜんぶキラキラしています。何も買わないけどそれでいい。それがいいのです。

外を歩いていると、好きな言葉や描きたいシーンが次々に浮かんできます。その度に隅っこで立ち止まり、スマホのメモ帳に打ち込むんです。ひとりでよかった。今日はひとりがいいと思っていたんだ。鮮やかな場所に行くと必ず、いろんなものが湧きあがって頭がぐるぐるしてしまいます。人のことを気にせずメモ帳を開くことができて、頭すっきり心軽やかです。



メモをすませて雑踏を眺めたとき、素敵な装いをしている人がいたので目で追いかけました。静かに私の前を横切っていきます。人々の足音に意識を向けてみました。みんながどこから来て何を目指しているのかはわかりません。マスクの外ではきっと誰かの香水が香っています。それにはぼくとは関係ない物語が詰まっているのでしょう。

ぜんぶ知りません。ぜーんぶ! でも知らなくていい。今は頑張らなくていい。頑張るのは家に帰ってからでいい。これは本当に嬉しいことです。

そうして、思う存分人々を眺めて満足したところで、ぼくは帰りの電車に乗るために駅に向かったのでした。



11月も忙しくなりそうです。10月に抱えた問題は解決していません。でもいいもんね、今のぼくはとっても元気。少しずつ、また頑張ることにします。みなさんも頑張りすぎず、それぞれに生きていこうね。

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