老化細胞除去ワクチンの社会実装に期待
順天堂大学大学院医学研究科循環器内科の南野徹教授が、ある老化細胞除去ワクチンの開発に成功したという。老化した血管の内皮細胞の表面にあるGPNMBという老化抗原(目印)を標的にしたワクチンとのことだ。
米国などで開発されている老化細胞除去薬のほとんどは抗がん剤を用いたもので正常細胞にも悪影響を与える懸念があるが、今回南野教授が開発したワクチンの標的は老化細胞に特異的に発現しているため副作用が比較的少ないという。
南野教授によると、
・マウスでの実験で効果が確認できている
・2022〜2023年ごろにはファースト・イン・ヒューマン試験を行う予定
・製菓会社との共同研究で老化細胞除去効果のある食品の開発を開始した
・近いうちにベンチャー企業を立ち上げる予定
・5年以内に老化細胞の蓄積度の測定検査を実用化させたい
とのことだ。
まだ、世界のどこでも「老化」そのものは病気だと位置付けられてはいない。日本の保険診療で老化細胞除去ワクチン、老化細胞除去薬が使えるようになるにはまだ時間がかかるのではないかとしている。
しかしWHO(世界保健機関)の新しい国際疾患分類ICD-11(2022年発効)では、『老化関連疾患』を意味する拡張コードが新設された。
このような状況から教授は、加齢関連疾患の治療を目的にしたワクチンや薬の開発からスタートしたいと述べている。
なお、創薬ベンチャーの一般的なビジネスモデルについてはJPX(東京証券取引所)が資料を上げている。
https://www.jpx.co.jp/listing/others/risk-info/tvdivq0000001rss-att/nlsgeu000000xf3f.pdf
(画像は資料より引用)
アライアンス締結(ライセンスアウト等)とは、自社で取得した特許権やノウハウ等を他社に売却したり、使用を許諾したりする契約を行うことである。
マイルストーン収入とは、臨床試験や承認審査の進捗に応じての支払いで生じる収入である。
さらにロイヤルティ収入とは、特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価で生じる収入である。
要するに今回のケースで言えば、老化細胞除去ワクチンの実用化に期待する大手企業が実用化までの道のりをサポートすることで、実用化した際の利用権利などを貰うという形だ。
ちなみに国内の大手製薬会社といえば数が限られてくる。
武田薬品工業
大塚ホールディングス
アステラス製薬
第一三共
中外製薬
エーザイ
大日本住友製薬
田辺三菱製薬
協和キリン
小野薬品工業
なお、製薬会社からの収入以外で資金調達が必要な場合は、国内で言えばANRIやリアルテックファンドなどが研究ベンチャーへの投資を積極的に行っているVCとして著名である。
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