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映画『シコふんじゃった。』に吉原ソープ『アメリカンチアガール』が出てる話

映画に登場する風俗店ということで、有名なコメディ映画内で主要キャラが言った『アメリカンチアガール』という吉原のソープランドについてのお話です。


コメディ映画『シコふんじゃった。』

『シコふんじゃった。』は1992年(平成4年)公開、大学の相撲部がテーマのコメディ映画です。監督は周防正行氏(社交ダンスをテーマにした邦画『Shall we ダンス?』や痴漢冤罪が題材の社会派作品『それでもボクはやってない』が有名)。主演は本木雅弘(以下敬称略)。

この作品に出てくる、竹中直人演じる「青木」というキャラクターが劇中で「アメリカンチアガール」というセリフを恍惚とした表情で言います。この記事はそこに焦点を当ててます。風俗店のお話なのであらかじめご了承ください。

青木は相撲を愛していますが、緊張すると下痢になるため公式戦で一度も勝ったことがないという哀しきキャラクター。そのため夏の合宿中に、自己啓発・ヒーリング系の音源を聴いて瞑想するんですね。そこで「アメリカンチアガール」に繋がるというわけです。

映画公開当時「アメリカンチアガール」がまさか実在のお店だとは知らず、きっと架空の風俗店だろうと思った人も結構いたと思います。でも知っている人はテンション上がったんじゃないかな。
※ちなみに私はこの映画をリアルタイムではなく再放送で見たので、「アメリカンチアガール!?知ってるが!」となりました。

▼予告編の映像。モッくん若いですね。サントリーのお茶『伊右衛門』のCMの人ですよ。

「アメリカンチアガール」が出てくるくだり

夏合宿で田舎へ来た相撲部。河原で瞑想する青木は、ラジカセで自己啓発っぽい音源を聴きながらイメージトレーニングを始めます。
この時読んでいる本は「あなたは絶対あがらない」。あがり症で、緊張のために下痢になって試合に負けてしまうので、それを克服しようとしているんですね。

青木のイメトレの流れ(セリフ)はこちら。
※ちなみに瞑想中なので青木はずっと目をつむったまま答えています。ちょっとニヤニヤしてます。
―――

音源『あなたの過去に最も気持ちが良かったことを、頭の中にイメージしましょう…それはいつのことですか?』

青木「十日前」

音源『場所はどこですか?』

青木「吉原…アメリカンチアガール」

音源『どんな風に気持ち良かったですか?』

青木「どんな風にって言われてもね…(ニヤニヤ)」

―――

そして映画の見せ場である、学生相撲リーグ(試合)での青木!緊張で青ざめている青木を鼓舞するため、主人公(本木雅弘)が

「先輩!吉原…アメリカンチアガール」
と声をかけます。
いけるのか?いけるのか青木!!(結末は映画本編で…)

そしてまた青木の対戦の順番が来た時、応援席の後ろに並んで立つチアガールたちがポンポンを振りながら「フレフレ青木!フレフレ青木!」と応援します。あ、アメリカンチアガールッ!!!(結末は映画本編で…)

※青木とアメチアに胸熱になって気づきませんでしたが、よく考えたら元アイドル(シブがき隊)のイケメン俳優・本木雅弘に一瞬とはいえ風俗店の名前を言わすってすごい思い切ったことしたな…
と思ってウィキ読んでたらこの映画公開後にヘアヌード写真集出したりしてたので、結構そういうキャラだったんですかね?
そんな彼も2009年に納棺師役で主演した『おくりびと』がアカデミー賞外国語映画賞を受賞しております。まさにヒューマンドラマ…人に歴史あり。

吉原『アメリカンチアガール』とは

▲吉原『アメリカンチアガール』女子求人画像

『アメリカンチアガール』とは映画の中の架空のお店ではなく、吉原に実在する格安ソープランドです。1992年の映画に登場するということは、2023年の時点で30年以上運営している老舗店ということになりますね。

日本三大ソープ街のひとつで最も有名な吉原(東京都台東区千束エリア)。そこにあるソープランドはお客様料金別に高級店・中級店・大衆店・格安店というようなランクがあり、『アメリカンチアガール』は格安店です。めっちゃリーズナブルな料金でお遊びできるというお店です。

在籍表をみる限り女の子たちはぽっちゃり系で、特にチアガールのコスプレをしているわけではないのでなぜ店名がアメチアなのかわかりませんが、もしかすると創業当時はチアガールコンセプトのコスプレ店だったのかもしれません。誰か店長に聞いてみてください。

思えば映画公開から30年以上経ってるので、当時20歳くらいだったスタッフは今は50代。当時の人材が今でも残っているかは謎ですね…。でも吉原のソープって意外とおじいちゃん店員も現役だったりするので、リアルタイムで映画を見ていたスタッフさんも今もいらっしゃるかもしれません。

※余談ですが当時「映画に出てたお店だ!」と性地巡礼した男性もけっこういたようです。

吉原そしてソープという属性

どういう経緯で『シコふんじゃった。』の中に実在する吉原ソープランドの店名を入れることになったかはわかりませんが、それだけ制作陣に愛されていた(?)お店なのかもしれません。
※映画は全年齢対象なので、何も知らずに「吉原って何?アメリカンチアガールって何?」と親に聞いてしまった人もいる気がします。

こうした作品の中に登場する風俗として、デリヘル(派遣型)ではなく吉原のソープ(店舗型)が選ばれたのは「そこにある風俗(昔からあるもの)」として歴史と実績があるからなのかなとも思いました。

そういえばドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年放送)にもファッションヘルス嬢が出ていた気がするので、やっぱり店舗型ってインパクトというか風俗のイメージ的に強いですよね。未成年が見ても「なんかそういうことをするには、そういうお店に行く必要があるんだ」っていうことが伝わると思うので、さりげない性教育にもなっている気がしないでもないです。

そういう考察を抜きにしても『シコふんじゃった。』は30年経っても面白い映画なので、気になった方はぜひ見てみてください。

ちなみに2022年にDisney+で続編ドラマが制作され、映画版から30年経過した時間軸の物語のようです。OB役で青木(竹中直人)も出演!

※映画版が第16回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品だということを今初めて知りました。良いですね…。

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