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てぃくる 8 青の記憶

僕は
青かったような気がする
他の色ではなかったような気がする

僕は空から墜ちたような気がする
深海から流れ出たような気がする
三日月の端に座っていたような気がする

僕は
青かったような気がする
でも
今は青くない

だから僕は黙っている

僕が再び青く染まるまで
もう永劫に色褪せぬくらい
青く
青く
染まるまで

黙っている

 ブータンルリマツリの名前で出回るケラトスティグマ。花一つ一つは短命なんですが、次々に花を上げます。寒さに強く、本家ルリマツリよりも花期が遅くて、長く咲いています。

 花色は、本家ルリマツリが水色なのに対し、こちらの方はもっと鮮やかな深い青。花はルリマツリよりも一回り小さいですが、こちらの方が瑠璃の名にはふさわしいように感じます。

◇ ◇ ◇

 青。
 血色の悪さをイメージさせるのか、人の感情や表情を表す際にあまりいい使われ方をしませんね。青くなる、青ざめる、とか。青息吐息とか。
 あと未熟、という意味合いでも使われますね。青二才とか。青臭いやつとか。ちょっとかわいそうな感じ。赤や黄色が万象を励起する色、動きの色だとすれば、青は沈静、静止、途上の色と捉える向きが多いのかもしれません。

 ですが本来色のないものに対して、なぜかわたしたちは青を当てはめることが多いような。たとえばコップに汲んだ水。ビニール袋の中の空気。それらに見える色はないはずですが、言葉で表そうとすると、青。

 不思議だなあと。

(2013-02-15)

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