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てぃくる 64 光と影とわたし

 セイタカアワダチソウの枯れた花穂。種子の冠毛が光を集めて、銀色に輝いています。もふもふしていて暖かそう。でも、陰になった部分は毛が目立たず、汚らしい印象になってしまいます。

 じゃあ、全体にまんべんなく光が当たっていれば美しいか? 凹凸を真っ白に塗り潰され、べったりと平板になってしまえば、それは美しいとは言えないかも。
 影は光と対峙することで、時にはっと息を飲むような美しさを垣間見せてくれます。
 そして。日の差す方向が少し変わるだけで、陰陽の関係はすぐに逆転します。

 光で得るもの。失うもの。光では変わらない存在があること。そんなことを……少しだけ考えたりします。

 ああ、そうですね。マクロモードで撮ったこの花穂も、そこから数歩離れただけで汚らしい残骸にしか見てもらえなくなるのでしょう。カメラを構えたわたしを見て、何を撮っているのだろうと首を傾げながら通り過ぎる人がいっぱいいました。

 わたしは彼らの陰にいるので、彼らにはくたびれたおっさんにしか見えないでしょう。でも、光が当たっても当たらなくても。

 わたしは、わたしなんです。

(2014-02-02)

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