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てぃくる 540 咲きに咲くらむ

咲きに咲くらむ

梅ならば 春来たるを寿ぐ
桜ならば 儚きを悟る
紫陽花ならば 変化を慰む
木槿ならば 一日を確かむ
金木犀ならば 匂いに酔ふ
柊ならば 寒刃を覚る

然れど
名もなき草木にも百花あり
其は時至れば咲き
時過ぐれば散るなり

知る者なけれ

咲きに咲くらむ


 木全体が真っ白に見えるほど、たくさんの雄花をぶら下げるシラカシ。でも、ほとんどの人はそれが何かを知りません。何だろうと思っているうちに花は落ち、花の記憶と共に消え去ります。

 一つ一つの花には、それぞれの意味があるのでしょう。わたしたち一人一人に意味があるように。幾千幾万の名もなき先人の意味に、また一つ己の意味を足して。

 さあ。咲きに咲くらむ。


蜜蜂と吾の知る花知らぬ花

(2019-05-15)

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