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てぃくる 811 しぶい顔


「えれえシブい顔してるな。梅干しか渋柿でも食ったんか」
「余計なお世話だ。生まれつきだよ!」

「なあ、何を食ったらそういうシブい顔になれるんだ?」
「生まれつきだと言ってるだろうが!」

「いいよなあ。シブい顔になると、イケ面より長く女にモテるんだぜ」
「だから、俺の顔は生まれつきだって!」

「じゃあ、いつになったらシブくなくなるんだ?」
「知るか! おぎゃあと生まれてからくたばるまでずっとこの顔だよ!」

◇ ◇ ◇

 いや、実際シブいと思いますよ。

 カレバキツネタケかなあ。キツネタケの仲間はその名の通り狐色のものが多いんですが、カレバキツネタケは枯れ葉色の地味なきのこ。ぱっと見にはオチバタケの仲間によく似ています。でも、オチバタケ類の傘は質感がぺらぺらで紙っぽいのに対し、もっと肉質でウエット。傘の中央がくぼむのが特徴です。
 生き方も、オチバタケの仲間とは違います。典型的な落葉分解者であるオチバタケの仲間と違い、カレバキツネタケは菌根菌。宿主の木々にリンなどの養分を与え、代わりに光合成産物をもらって生きています。相互扶助を旨とするなんて、シブいですね。

 ただし毒はないものの味のいいきのこではなく、シブ好みというわけにはいかないようです。


送り梅雨 人肌の雨降り続く

(2021-07-15)

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