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てぃくる 789 青年の悩み

「うーん……」
「どうした? 何を悩んでいる。先生に言ってごらん」

「いや、世の中理不尽だなあと思って」
「世の中のことはどうしようもないなあ」

「センセー、全然頼りになりませんがな」
「それが世の中というものだ。えへん!」

「いばるな!」
「はいー。で?」

「いや、俺、全力で今咲いてるんすけど」
「ほう!」

「だあれも見てくれないし、嫌がってもくれない。咲く意味あんのかなと思って」
「まあ……そう思ってしまうのも無理はないよ。ウバメガシの花なんか、誰も花だと認識してくれないし」

「ダメージ受けてる上から踏んづけないでくれよ!」
「いや、そのうちダメージも感じなくなくなるから」

「は?」

(ウバメガシ)


用済みの雄花は全部散るからね

☆ ☆

 ナラ・カシの仲間の花は、たっぷり咲く割には小さくて目立ちません。
 風媒花が多いというイメージですが、クリやシイ、マテバシイなどは虫媒花になります。それらの花も小さくて地味なので、独特の匂いを出して虫を呼ぶんですが。いい匂いでは……ありませんね。臭いです。

(2021-04-26)

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