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てぃくる 476 焦げ付く

「夏、暑すぎて、焦げ付いた?」
「いや、そんな風に見えるだけさ。日が翳ったら消える」

「ふうん。でも、明日になったら、また焦げ付くんでしょ?」
「俺が伐られなかったらね」


 コンクリートの塀に、ルリマツリの枝の影。ずっと咲き続けて来たルリマツリも、そろそろ退場です。

 夏の間は緑の枝葉とどっさり咲く水色の花が賑やかで、影なんか誰も見やしません。焦げ付くような濃い影には夏のイメージがありますが、実際には夏が去って初めて目に留まる影もあるということですね。

 猛暑と台風に振り回された今年の夏。記憶に焦げ付く頃には、すでに冬の気配です。

(2018-11-20)

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