見出し画像

てぃくる 156 白炎


 白炎が立ち上った。

 そこに在ったはずのものは跡形もなく消え去ってしまい、ゆらゆらと白炎だけが揺らめいていた。

 わたしは、そこに何が在ったのかを必死に思い出そうとしてみたけれど、虚しい努力を燃し切るかのように、白炎が視界を覆い尽くして行く。

 熱い? いや、熱くはない。恐ろしくも怖くもない。
 そこにはただ白炎がゆらゆらと揺らいでいるだけで、他には何もないから。


そこにいたひとの形に海芋かいう咲く

(2015-05-28)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?