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てぃくる

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長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。
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2022年4月の記事一覧

てぃくる 306 ダブルクロス

 ダブルクロスっていうのは、二重スパイのことさ。祖国を裏切れとそそのかして敵国に送り込ん…

水円 岳
2年前

てぃくる 305 もう一つの満開

 満開の桜並木の下。  ひらひら舞い散る薄紅色の花弁の、その下で。  わたしたちも満開にな…

水円 岳
2年前
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てぃくる 304 にぎやかし

「枯れとるんやろ?」 「そう、ずいぶん前にな。せやけど、見た目が地と同じやさかい、だあれ…

水円 岳
2年前

てぃくる 303 じゃんけん

「ぱあは、ぐうに勝つんだぞ!」 「でも、ぐうがこんだけあったら、ぱあ一つじゃ包み切れんだ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 302 ウォーリーを探せ!

「ということで、どうも探さないといかんらしい」 「誰を?」 「ウォーリーってやつ」 「知ら…

水円 岳
2年前

てぃくる 301 本物と偽物

鉄条網の棘は、薔薇ではない。 咲き切れず、乾いて萎れた薔薇は美しくない。 湧き上がる雲は、…

水円 岳
2年前

てぃくる 300 心

君を見ると 心が騒ぐ 心静かに 過ごしたいのに それを 心得ているはずなのに 君を見ると 心ここにあらず 君の心だけじゃなく 僕の心も分からない 想いの行方に 心当たりはない 君を見ると 心が痛む 僕の心が どうしても君に届かない それが 心もとない 君を見ると 心なしか 僕の心を 見てくれているように感じる ほんの 心持ちだけどね 君を見ると 心苦しくなる 君が心移りしているように 思えてしまうから 君を責めたくなる 心ない僕がいるから 心密かに 君を見る 心置き

てぃくる 299 ばんそうこう

ばんそうこう  傷の上に貼れば、傷が治る  傷の上に貼れば、傷が隠せる  傷の上に貼れば…

水円 岳
2年前

てぃくる 298 八方位

【北】 「なぜわざわざ寒い北に帰るんだ?」 「そこが私の家だからだよ」 「じゃあ、なぜ北の…

水円 岳
2年前

てぃくる 297 食らいつけ!

歯があるなら、かじりつけ! 牙があるなら、突き立てろ! おまえの口にあるのはお飾りか? …

水円 岳
2年前

てぃくる 296 べろ

あんた、俺を騙そうとしただろう? 俺があんたを騙すんだよ 俺は舌は出すけど そいつで音は出…

水円 岳
2年前

てぃくる 295 呼び鈴

かさかさと ちっとも響かない呼び鈴の紐を揺らす 誰かがわたしを 待ち望んでいるわけではない…

水円 岳
2年前

てぃくる 294 ひめごと

 全てのものには多面性がある。  もちろん、元々脆い言葉がその枷から逃れることは決して出…

水円 岳
2年前

てぃくる 293 覗き

「こら! 何覗いてやがるっ!」 「見りゃあ分かるだろうがよ。俺が女の着替えを覗いてるように見えるか?」 「見えるわ! 目ぇ細めて嬉しそうな顔で覗きやがって!」 「目ぇ細めてるのは、眩しいからだ。嬉しそうなのは、お天道さん拝んでるからだよ」 「よだれ垂らしてるのは、なんだ!」 「ガム噛んでるからだって」 「カメラ持ってるだろうが!」 「ご来光を撮るんだよ」 「その足台はなんだ!」 「きれいに撮るのに、塀が邪魔なんだよ」 「薮背負って迷彩にしてるのはっ?」 あんたにバ