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【日記】幾つになっても月は欲しい

・日付を跨いでしまったので、これは昨日の日記。

・昨日は月がすごく綺麗だった。濃密な黄色の三日月で、絵に描いたように輪郭がくっきりとしていた。顔立ちの美しい月だ。

・私は写真を撮るのが好きで、なんでも無い平日でも食指の動いたものはとりあえず撮っておく習慣がある。当然昨日の月も撮ろうとしたのだが、全然うまくいかない。
素人なりに試行錯誤はしてみるも何枚撮ってもぼやけてしまって、漂白された柿の種かいいとこ勾玉、としか形容できない画像ばかりがフォルダに溜まる。
なんとなく諦めきれなくてシャッターを切り続ける傍、これじゃまるで月が欲しいと駄々をこねる幼い子どものようだと思った。
私自身がそういったロマンチックな訴求をする子どもであったかは覚えがないが、確かその内容の絵本を読んだことがある。調べてみると実在した。だが絵柄に全く覚えがないのでまた別の作品だったのかもしれない。

・月を手に入れたい。
いかにも非現実的な欲求だ。だがそれすら実現可能なのだから現代って恐ろしい。

・ルナ・エンバシー。月の販売を始めとした「地球外不動産」の事業を展開するアメリカの企業で、日本にも代理店を展開している。
サイトを読むと月の土地の購入について詳細を知ることができた。土地を購入すると月の土地権利書や月の憲法なども同封されるらしい。何が定めてあるのだろう。
驚いたのはその価格で、1エーカーあたりなんと2700円で購入可能。
SNSなどで購入報告を目にする度にえらい金満家がたくさんいるものだと思っていたがどうやらそうではないようだ。そうはいっても夢のある話であることには変わりないし、プレゼントとしての人気にも頷ける。

・一通り調べはしたが、正直私はそこまで月の土地の所有権に食指が働かない。それよりも目で見たそのままの月を写真に収める力が欲しい。確たる権利を付与した書類で自らと月を堅実に結びつけるよりも、たまたま上手く撮れただけの偶像であったとしてもあの冴え冴えとした魔性の光をこの手の中で眺めたい。




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