【詩】名前のない物語 I

愛をささやく歌声は
煙草の煙さえドラマチックに仕立てて

会う理由も行き先もなくして
どうしてここにいるのだろう 

今はまだ"思い出"なんて笑えやしないから 
落ちたトーストのパン屑をはらうみたいに
簡単にはいかなくて 

煉瓦の壁には
あの日とおなじ異国の絵 
君が憧れた青い街角 

ひっそり冷めたコーヒーに
今日はミルクを入れてみよう 


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