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かまいたちは「プロ仲良し」。だから、好き

渋谷の路上。寒さに震えながら行き交う人に声をかけるふたり。

「今までに、名字を読み間違えられたことはありますか?」

かまいたちがはじめてYouTubeでロケをした回。名字の読み方を当てていくゲームに興じるふたりは、何度も「楽しい」と顔を見合わせ、ときには言い合いになる。

2020年3月。

急に始まったインドアな日々。たくさんのコンテンツに救われることになるこの非日常を、最初に彩ってくれたのがかまいたちのYouTubeでした。偶然流れてきた「激ムズ名字!正解するまで進めまへん‼︎」を再生したら止まらなくなり、過去にさかのぼって動画を観はじめる。2019年のM-1は流し見をしていたようなわたしが。

そこから猛スピードで沼って、今にいたります。

「人を傷つけない芸」が市民権を得て久しい。わたしもどちらかと言えばそのほうが好きで、キングオブコント2021では、男性ブランコ、蛙亭など、愛が潜んでいるようなネタに心の中で得点をつけていました。

一方、かまいたちのそれは、決して「人を傷つけない芸」とは言えない。山内さんも「好感度を燃やして仕事をしている」と目をギンギンにして話すほどだし。

では、なぜ彼らが今、一番忙しい芸人(わたし調べ)になり得ているのか。

好感度を燃やす山内と上げる濱家

2021年2月10日の『ホンマでっか!?TV』で、山内さんは「妻からのプレゼントは基本いらないと言っている。俺が稼いだお金だから」と発言して、ひんしゅくを買いました。同じ話を2021年1月のYouTubeでもしています。

余談ですが、もちろん山内さんを批判したいわけじゃなく!この自論を展開する感じは「山内やなぁ〜」といったところで、ファン的には結構楽しいポイントだと思うんです。かまいたちの漫才「タイムマシン」「怖い話」「割り込み」などと同じ。ズレているはずの意見がもしや辻褄あっている?と、だんだん思えてきてしまう不思議さが、山内さんの話ぶりにはあるのです。(濱家さんなら「辻褄しか合ってないわ」って言うやつだけど)

そんな山内さんの自論を『ホンマでっか!?TV』でもYouTubeでも、すかさず濱家さんが否定します。

「世の女性全員敵に回すで」
「俺の稼いでるお金は、家のお金やからなぁ」
「稼げてるのは普段家を支えてくれている妻のおかげ」
「(お前は)ひとりで生きてんのか!」

そうやって、ふたりで好感度の帳尻を合わせていく。もし濱家さんがつっこまなかったら、正直わたしもモヤるかもしれない。きっと炎上待ったなし。ふたりのバランスが取れているから、ファンは安心して笑えています。

で、これって偶然おたがいの性格がでこぼこにハマってるのももちろんあるのですが、あえて、プロとしてやっている部分もあると思うのです。おたがいがやろうとしていることを瞬時に理解して打ち返して、笑いにしながらも人やスポンサーを不快にさせない。どちらかが好感度を損しても、コンビでトントンにする。

ふたりの間に流れているのは圧倒的バディ感。仲良しこよしとは少し違う、仕事仲間としての仲の良さ。阿吽の呼吸とお互いの信頼が、ファンにはたまらないです。

プロ仲良しを感じる流れ3選

かまいたちには定番の流れがたくさんあります。そこからにじみ出るプロ仲良しみを伝えたい。

濱家の余談

山内さんがトークの脈絡なく、濱家さんの余談を差し込むシリーズ。なぜかさんまさんがめちゃくちゃハマっているほか、『爆笑!ターンテーブル』で山内さんがカントリーロードの曲に合わせて披露したり、2021年1月にはかまいたちの冠番組『これ余談なんですけど…』も生まれました(2021年6月に惜しまれつつ終了)。

「余談」は、山内さんが濱家さんの身の回りのできごとを、しっかり把握しているからこそできる芸です。プロ仲良しならではでしょう!たまにウソも混ざっているようですが(『かまいガチ』2020年7月4日回より)

TELASA限定配信の『もっとかまいガチ』で、コロチキのナダルさんが相方西野さんのエピソードを言おうとするも、出る話出る話薄すぎるというシーンがありました。それはそれでおもしろいのですが「余談や相方エピソードトークのおもしろさは、かまいたちだからこそなせる技」とニヤニヤしたものです。

サイドの白髪

最近ふたりが(濱家さんだけかも?)ハマっている流れ。濱家さんが山内さんに脈絡なく「お前横の白髪増えたな」と言い、山内さんが「今そんなこと言うな」とか「気にしてんねん、やめろ」とか返す。さらに、ごめんと頭を下げた濱家さんに山内さんが「お前ハゲたな」と言い返すくだり。

加齢によるおたがいの変化をネタにするの、コンビ歴を重ねてきたストーリーがにじんでエモくないですか。楽屋にいるときに白髪に気づいたのかななんて、プロ仲良しのようすを空想してしまいます。

これまた余談ですが、先日の単独ライブで設置された天井カメラ。濱家さんのハゲを確認してねなんて触れ込みでしたが、じつはあるネタのオチを揺るがすポイントになっていました。オンライン配信の視聴者にも楽しんでもらいたいというふたりの気持ちを感じる仕掛けに、みんな感動したと思います。

「雅さんやないか」にひそむワナ

2021年9月29日放送『千鳥の出没!ひな壇団』の「ひな-1グランプリ」で広島ロケをしたふたり。ことあるごとにトミーズ雅さんの言動を真似て、おたがいに「雅さんやないか」とつっこみ、千鳥を喜ばせました。

※千鳥もかまいたちも、雅さんが出演する『せやねん!』のレギュラーだった時期があります。

そこはお決まりのやりとり。スムーズにつっこみあいが続くのですが、途中で雅さんじゃない人を紛れさせる山内さん。視聴者も気づかないうちに「それは〇〇さんやないか!」(たしか、かつみさゆりのかつみさんだったと思うけど、記憶に自信がない)とつっこむ濱家さん。そして、気づかれると思わなかったのか、するどいつっこみにおどろいて、つい笑ってしまう山内さん。

本人同士でもおどろくほどの阿吽の呼吸に、全わたしが泣きました。相方が何をやりそうか、感じ取る能力の高さよ。推せる。

かまいたちは芸人じゃない、仕事人だ!

かまいたちをとにかく全方位で好きすぎて、まったくうまく語れていないのですが、とにかくわたしにとって彼らは芸人という以前にプロの仕事人であり、ふたりの仲の良さも仕事仲間・バディとしてという感じなのが心地よくて、尊敬してる!そこが推せる!と言いたかった!!

「自分のお笑いをやる」的なアーティスト肌な芸人もかっこいいけど、YouTubeも郷に入ればの精神で馴染んでいけちゃうくらい、仕事人で器用なふたりが最高にかっこいい。ふたりの目標が「お金持ち」なのも納得です。

バリバリ働いたあとは、47歳で大阪に帰って雅さんになるなんていう山内さんの発言もありますが、夢が叶っても最前線で活躍し続けてほしいと、ファンのエゴだけ最後にお伝えして、終わらせてもらいます。

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