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洪水からの帰還(超短篇小説)

自分は大丈夫だろう。そう考えて外に出たのがいけなかった。

雨は強く、近くの小川は氾濫し始めていた。あっという間に水は膝小僧の下まで迫った。慌ててしまい、僕は倒れてしまった。急な流れが僕の体をどんどん押し流していく。
もうダメだ。

そのとき奇跡的に救助のボートがやってきた。救助隊員二人が僕をボートへ引き上げてくれた。
不思議なことに屋根もないのにボート内に雨は入ってこなかった。さらにボートの中は太陽のような明かりに包まれており、僕の濡れた体を乾かしてくれた。
僕はあまりの気持ちよさに眠ってしまった。

ふと目を覚ますと、ボートは空を飛んでいた。
「もう大丈夫ですよ。これから安全なところに行きますから」
救助隊員の一人が言い、もう一人が頷いた。
ボートはどんどん高く昇っていった。
僕はホッとして、また寝てしまった。

僕の溺死体は次の日の正午前に川沿いの叢から見つかったらしい。

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