「江水散花雪」初日配信感想⑤~肥前忠広という真摯さと山姥切国広どうすんべ問題。

ええと江水散花雪初見感想、肥前君と山姥切国広について語れておりません。この二振りについては、動いた感情が大きすぎてうまく言葉にならないんですよ。肥前君も山姥切国広も背負うドラマが重すぎん……?

とは言えもうすぐ来てしまう千穐楽配信をじっくり堪能するために(自分の情緒のために)初見感想を言語化しておきたいと思います。多分情緒が乱れまくるので相変わらず支離滅裂な感想になりますが、悪しからず。

自己像をつらぬく先でしか見えてこないもの~肥前忠広


まずは肥前君……、前半で愛おしさが急上昇した分、後半の展開が鬼すぎて涙腺決壊しました。
肥前君になんてことさせるんだよミュ審神者! でもあそこで呑気にご飯を平らげて何とか歴史を修正しようと駆け回らないなら、それはもう肥前君じゃないという……彼だからこそああやって苦悩して、葛藤したのが分かるだけに切ない。切ない以外の言葉が出ない。


実は肥前くん、刀ミュお得意の「推しがいないと油断していたら思わぬキャラに刺された」典型的な例です。私、本体ゲームでも文久土佐未経験の新米審神者だもんで彼は所持してないし、全くノーマークだったんですよ。
それがふたを開けてみればあれ。可愛いがすぎるやん。

お手紙のやりとりとか、扱いづらいミュんばちゃんに直球でぶつかる所とか、斜に構えているようで構えきれてない純粋さとか。そして前半のぬるいパートで彼だけが必死にあがく姿に絆されたところへ、後半の彼の「人斬りの刀」としての在り方そのものを問う展開でしょ……もうどうしろと。

* *

兼さんが歌った「もしも」を現実に体験させられたのが肥前君。
もしもを実現させてしまう事の醜悪さを身をもって体験して、己とは何者かを真っ向から問われてた肥前君。もうしんどい(語彙力)。


「人を斬って何になるというのです」という以蔵のセリフの真っ当さが、真っ当であるがゆえに残酷でした。
その残酷さとは「悪人は生まれた時から悪人なのではない」という、現実の残酷さだなと。

私はあそこで、親鸞聖人の「わがこころのよくてころさぬにはあらず。また害せじとおもうとも、百人千人をころすこともあるべし」という言葉を思い出しました。

世に悪人と言われる人も生まれ落ちたその瞬間から悪人な訳ではなく、ただ業縁がその人を悪人たらしめただけ。という趣旨のお言葉なんですがね。

以蔵だって、ほんの少し世界が違えば、ほんの少し歴史が変わっていたら、悪人ではなく偉人として語り継がれる存在になったかもしれないんですよ。
だけど、それはif、想像の中でしか存在できない物語で、悪人は悪人と言う役割を全うすることが運命のまなざしから見れば最善であったりするんです。

与えられた業を全力で生きる、だからこそ往生への道が悪人と呼ばれる存在にも開かれるのだという大乗仏教的な視点。
あの人は悪人だ。あの人は悪を成さざるを得ない運命に生まれ落ちた。だから不幸だったというものの味方は、他者に対して非常に傲慢なまなざしなんですよ。

元の主である岡田以蔵の、師に忠義を尽くすために人斬りという所業を続けた愚直さとか純粋さが、肥前忠広という刀剣男士の性格の根っこにあるんだろうなって思うとこう、もうね、しんどいです(語彙力)

* *

ところで、肥前君のアイデンティティというか物語に関わる部分で一つ思ったことがあります。
それは、歪みつつある歴史の流れの中でかつての主が行うはずだった天誅を代行するという、肥前君の選択。

あれはね、己の物語を全うしようという肥前くんの真摯さではあるんだけど、彼が「人斬りの刀という己の物語」にまだ囚われている証でもあったんじゃないかと思うんですよ。

彼は確かにかつて人斬りの刀であった。けれど、今現在は刀剣男士としてミュ審神者の元に顕現していて、違う在り方を選ぶこともできるんだよね。
だけどかれはその選択肢を選ばなかった。斬りたくないけど人を斬るという己の逸話に準じる事を選んだ。
だから、兼さんは彼に言ったんですよ「やれるだけやってみな」「あんまり無理すんなよ」って。

己の信じる「自分とはこういう存在だ」という自己像を生ききった先でしか掴めないものってある。それを極になる修行の中で経験した兼さんだからこその後輩へのエールだなあ、とじんわり感動しながらあのセリフを受け取りました。

その後もちゃんと肥前君の事見守って、泣かせて、歩き出させてあげたもんね。兼さん大人になったよねえ……(感涙)

本丸に帰ったら、やっぱり彼にはお腹いっぱい握り飯を食べさせてやりたいです。


山姥切国広、おまえのやっている事は「なすべき事」なんかじゃない。


さて江水初日配信感想のラスト……山姥切国広。
彼の胸倉つかんで引きずりまわして両頬はったおしたいという意見を青い鳥で見て……分かる……分かりすぎる……。私も頭抱えるしかなかったし、未だに彼に対しては頭抱える。解釈も何にも出てこない……。
とりあえず歌上手い。傘貼り上手。肥前君との文通コントは楽しすぎた。


一つだけ彼に言いたい。
おまえのやっているのは「やるべき事」じゃない。「やるべきだと自分が信じた事」でしかないんだ

その選択肢しか無いって思い込んでるのは、あなたなんだよ山姥切国広。
あなたが選んだ行動は、とってもとっても独りよがりで、周りから既に赦されてるのにその赦している人の心を踏みにじる事なんだよ……。
大包平と本丸の皆に謝れ。


とは言え、個人的にはね、そうやって自分を責める事で心を守っている人に、他者からの許しって意味をなさない段階ってのも確かにあるんだよなあって思っちゃうんですよ。ああいう原罪を背負っちゃった人は特に。

そういう時、他者が安易に許しを垂れるのは違うし、それでは救われない。
それは「お前は許されなければ生きられない存在だ」という逆方向の否定になっちゃったりするんですよ。

まあだからこそ、ミュ審神者は山姥切国広の選択に対して異を唱えず、彼がやりたいようにやらせてあげたんだろうし、兼さんの彼への接し方も、そういう分かっていて見守るような姿勢がにじみ出てたと私は感じました。

というかさ、彼自身も、もう半分仲間に許されてる事も解ってて、だからこその兼ねさんとああいう気安さだったんだろうし、大包平に対する接し方だって仲間としてその存在を認めているからこそだったし、愛情を半分は受け取ってるんですよ。ただそれを認めてないだけなんですよ。
越えろよそこを。

と、感想にならない感情しかでてこないのです山姥切国広に対しては。
大包平、早く彼を叩きのめせるくらい練度上げて張り倒してあげて!


というか次のミュで山姥切国広の物語は動くの? 伏線にしてもひどすぎん? 
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と、そんな感じでようやく初日配信(&豊橋現地)の感想一通り書きました。二部は頭空っぽにして楽しむ人なので、肥前君の背中の紐グッジョブとだけ。

さて、千穐楽配信でどんな風に一座が進化しているのか、楽しみだしまた情緒乱されるのかとドキドキです。無事に千穐楽を迎えられますように!

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