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元祖 巴の龍#24

「息子?伯父御には娘がひとりでしたよね。人違いかあるいは」
菊之介は言葉を切った。

「もしかしたら、丈丸兄上ではないでしょうか
「それそれ、俺もそう思ったのだ」

「しかし、三人とも生きているなどと、都合がよすぎるような気がしますが」
その時ロンが帰って来た

菊之介、おじさん、もう家にいない。年明けて、どこかに行ったらしい」
「年が明けてから。では、もうずいぶんまえのことではないか。
それがほんとうに伯父御なのか、調べる必要がありますね」

 早速菊之介は大悟らを伴って、伯父がいたらしい家にやって来た
小さな農家だったが部屋は三つほどあり、それらはよく手入れされていて、ついこの間まで人が住んでいた気配が感ぜられた。

菊之介たちは丁寧に部屋の中を調べて行った。
「菊之介、これ、なんだ」

ロンが何かを見つけたようだ。
駆け付けると、それは薄い巻物で、どうやら何かの書き付けのようなものだった。

「中を見てみよう」
大悟が巻物を開いた。

『正月吉日 兵衛 葵 祝言の儀――――――』
それは祝言の準備のために必要なものを書き留めた物だった。

「兄上、確か伯父御の姫は葵という名ではありませんか」
「あぁ、俺も親父からそう聞いている」

「ということは、これは葵殿の祝言のために書かれたもの。この兵衛というのが葵殿の婿殿ではありませぬか」
「そうであろうな。これで伯父御がここにいたことは間違いない。しかし、一足違いであったな」

大悟は残念そうに巻物を見つめた。菊之介はふいに大悟の手より巻物を奪うと、隅々まで読み直した。

「兄上、この兵衛というのは、丈丸(じょうまる)兄上のことではないでしょうか
「なぜそう思うのだ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

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そして、またどこかの時代で

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