Love's night #15
比留川(ひるかわ)は 黙って部屋に上がった。
そして 眠っている更冴を見ると、その横に座った。
すでに日は落ちており、だが 部屋には電気がついていなかった。
「更冴が何かしゃべるんじゃないかと、ハラハラしたよ」
勢(せい)は 唇を曲げて立ちつくしていた。
「すみません」
「悪いとは、思っているのか?」
比留川が勢を手招きして呼ぶので、勢は比留川に近づいて横に坐った。
「更冴が素直な子で助かった。
最初に、俺に会ったことがあることを内緒にしようって約束させたら、
ちゃんと守ったからな」
突然 比留川の平手が飛んできて、勢の頬にあたり、勢は少しよろめいた。
「この四年間の俺とおまえのこと、忘れていたわけじゃないよな」
「・・・はい」
勢は うつむいた。
「俺は誰だ?」
「比留川貢(ひるかわみつぐ)さんです。」
「では、娘の名は?」
「比留川・・・タカネさんです。」
比留川の顔が気色ばんだ。
「わかっていたなら何故・・・何故 今日 来たんだ?」
「最初はわからなかった。 ほんとうです」
「わかろうと しなかたんじゃないのか?」
痛いところをつかれて、勢は言葉を失った。
比留川は勢の顔を両手ではさみ、なでまわすように肩まで下ろし、
やがて勢のシャツのボタンをはずし始めた。
「忘れたなら思い出させてやろうか。四年前のことを」
比留川は意地悪く言い、勢はされるままに目を閉じた。
ありがとうございますm(__)m
Love's night #15
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#16へ続く
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