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トンニャン過去編#55 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ビリーの巻」の次。「コーラの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

「ところでトンニャン、少し前の事だけど・・・」
チェリーはルーシー・エイビスに言われた事を思い出した。ミセス・ボニー・ガンのパーティーの件で忙しく、忘れていたのだ。
「ルーシーがそんなことを。アリス・ジョージャスと、ピエール・オーギュスタンがね・・・」
トンニャンも、少し前にピエールに話しかけられた事を思い出した。
そして、ただ一人コーラの正体を知っているトム・クワイエットが浮かんだ。
「トムが話すとは考えにくい。でも・・・」
その時トンニャンの脳裏を、ふと嫌なものが横切った。
「リリスが嫌がらせをしなければいいけれど。コーラの正体がばれるという、最も卑怯なやり方で・・・」
 
 
 
翌日身体も回復したコーラは、トンニャン、チェリーと共に登校した。
「トンニャン、私、トムのところに行ってくるわね」
トンニャンが意外な顔をした。
「ごめん、聞いてたの。昨日の話」
コーラはトムのクラスに走っていった。
「ふ・・・ん。久しぶりにアンに会ってみようか・・・」
気がつくとトンニャンも、そんなことを考えていた。
 
 
5Bに行くと、すでにトムはいなかった。どうやらピエールに呼び出されたらしい。
「しまった。先を越された」
 
ピエールとトムは体育館にいた。ピエールはトムに、コーラの正体について質問していた。
「正体?何だよ、それ」
ピエールは意地悪く笑みを浮かべた。
「知ってるんだぜ。トムがまだセカンダリースクールの二年の夏、コーラと会ってるだろう?コーラはトムの家で寝起きしている。コーラについて何も知らないはずがないだろう?」
トムはフッと息をついた。
「聞く相手を間違ったな。コーラは俺の大切な友人だ。その友人の事を、昨日今日会った相手に、俺が言うはずないだろう。それしか用が無いなら、俺は話すことはない。」
 
 
アン・バスカントはアリスに呼び出されていた。校舎裏の木陰で、トンニャンについて聞かれていた。
「私には何もわからない。トンニャンはとても魅力的な人よ。私の初恋の人だもの。それ以外は・・・わからないわ」
 
 
トムが体育館を出ると、コーラが駆けて来るのが見えた。
「ト・・・トム・・・」
息を切らしてコーラがトムに駆け寄った。
「トム・・・あの・・・ピエールの話って?」
トムは微笑みながら、コーラが何か気づいて心配で走ってきたのだと感じた。
「コーラ、何も心配いらないぜ。俺達、友達だろう。俺、友達を売るほど、堕ちちゃいないぜ」
 
二〇〇七年平成十九年八月五日(日)(原文一九七七年三月)

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#55 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)

リリスの魔女裁判、事はそんな簡単なことでしょうか。さすがにお子ちゃまだった私も、このまますまないことぐらい、わかっていたようです。

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※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#56へ続く

前回トンニャン過去編#54コーラ・デビルはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
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