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トンニャン#36 魔女裁判長リリス

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「リリスの巻」のような意。話の位置は前回の「ウェヌスの巻」の続きです。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

リリスが息子リオールの城を訪れると、まだ朝も早いのに誰もいなかった。
リリスは気が引けたが、寝室も覗いてみた。やはりいない。
リオールとコーラは、夫婦揃ってどこかに出かけたのか。しかも真夜中に。

 【魔女裁判長 リリス
 リリスの出自には諸説ある。一つにはアダムの最初の妻で、アダムと対等の男女関係を望んだが受け入れられず、アダムの元を飛び出し悪魔と関係した。その後神はアダムの骨より従順なエヴァを作り、リリスはルシファーの妻となった。
リリスが産んだリリムという悪魔達は、人間の男性を誘惑すると、その男性は人間の女性との交わりでは満足できなくなるという。リリム達は聖職者を誘惑する美しい悪魔で、最初のデーモンとも言われている。
 また一つには、 魔界の三大魔女リリー・リリーツ・リルーの一人、リリーツの娘である。
ルシファーが翼を貫かれて天から落ちてきた時、リリーツの指示で、リリスが介抱した。傷ついた身体でありながら、ルシファーは魔界の誰もが手を出す事が出来ないほど、強大な力を持っていた。
リリスの介抱で回復したルシファーは大魔王ルシファーと名乗り、リリスを妻とし、それと同時にリリスは魔界の裁判長になった。
リリスがルシファーの妻になった事により、三大魔女リリーツの立場もゆるぎないものとなり、リリスの一族は繁栄を極める。
ルシファーとの間にたくさんの悪魔・魔女を生んで、ルシファーの守護に当たらせるが、別格として長男に悪魔皇太子リオール、長女に後の魔女裁判長を約束された悪魔皇女サーティがいる。

 「母上、どうなさったのです?こんなに早く」
 リリスが振り返ると寝室のバルコニーに、おそらく空から降り立ったリオールとコーラが立っていた。リオールは寝室の扉を開き、コーラと中に入ろうとしていたのだ。
「リオール、泥だらけではないか。コーラも・・・。いったい夜中に、どこに出かけていたのだ?」
リオールは一瞬言葉につまり、コーラはリオールに隠れて顔を背けた。

 「コ・・・コーラ、先にシャワーを浴びて着替えて来い。母上に失礼だ」
 「で・・・でも・・・」
 「いいから、早く!」
 リオールが追い立てるように言うと、コーラは顔を伏せたままリリスに一礼し、そそくさと寝室を出て行った。

 「なんだい、あの子は。全く出自がハッキリしない子は礼儀も知らないねえ」
 「母上、俺の前でコーラの悪口は聞く耳持ちませんよ。何かあって、わざわざ朝早く来たんでしょう?コーラに用があるとは思えませんね。俺に用なら、早く言ってください」
リリスは泥だらけの息子をじろじろと見ていたが、寝室を出てバルコニーから外を眺めた。

 「庭の手入れは使い魔にやらせているのかい?」
 「えぇ、たいていは。コーラも気がむくと好きな花を植えたりしてるみたいですが。それが何か?」
 リリスは腕組みして手すりにひじをつくと、ほうっと息をついた。
 「悪い噂を聞いてね。どうしてもこの目で確かめたくなったんだよ」
 リリスは、一瞬のうちに身体を移動させリオールの目の前に立つと、いきなり片手でリオールの顎をつかんだ。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#36 魔女裁判長リリス

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

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https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン#37 魔女裁判長リリスへ続くhttps://note.com/mizukiasuka/n/n2a69d546e780

前回トンニャン#35 愛と美の女神ウェヌスはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n5db58e3e43db

最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46

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