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巴の龍(ともえのりゅう)#20

丈之介(じょうのすけ)菊葉(きくは)の方を振り向いた。

菊葉、もう女のふりをすることもあるまい。

名を変えたらどうだ。」

菊葉はすぐに答えられず、黙っていた。

「おやじ、俺は母を助けに行きたい」

大悟(だいご)が ふいに言いだした。

「俺は母を知らん。母に会ってみたい。」

兵衛(ひょうえ)葵(あおい)を突き飛ばしながら、

「俺も母に会いたいな。生きているなら、一度は会ってみたい。」

と言うと、が口をはさんできた。

「助けるということは、三つ口(みつくち)と戦うということよね。

手紙には、倒す自信がないとか・・・」

は急に兵衛から口をふさがれた。

「な・・・何でもないんだ。こいつ、時々変なこと 言うから・・・」

兵衛を引きずって皆から離すと、小声で言った。

「余計なこと言うな。なりゆきとか・・・いろいろあるだろう。

俺は長男なんだぞ」

はプーッとふくれて黙った。

今まで黙っていた菊葉が口を開いた。

「もし、助けにゆくにしても、母はもう新城にはいないと、

黒龍が・・・。

三つ口の配下にある四天王は あと三人

次の二の将軍はもちろん、他の者も簡単に倒せる相手では ありません」

しばしの沈黙のあと、丈之介はひとりひとりの子らを見つめた。

「そうだな、今日は運よく勝てたが、いつも そう うまくはいかんだろう。

それに あの光の三つ首の龍、いや巴の龍(ともえのりゅう)も何かはわからん。

桔梗の太刀(ききょうのたち)は どうやらそれに守られているようだが・・・。

おまえ達も武器も 今のままでは心もとない。まして、太刀や弓の修行もまだまだ だ」

そう言われて 皆一様にうなだれた。

「そこでだ、とりあえず北のサライに行ってみてはどうだろう。

異国のものが出入りする自由な町と聞く。うまく隠れ住むことができれば、修行もできるし、

武器も調達できるだろう。」

「行きます!サライに。」


巴の龍#20

ありがとうございました(*^_^*)

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巴の龍#21へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n6338ff006acc

巴の龍#1最初から こちらからhttps://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e

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