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巴の龍(ともえのりゅう)#21

「行きます!サライに」

最初のそう言ったのは 兵衛(ひょうえ)だ。

サライは もともと旅の目的。

大悟(だいご)もうなずき、菊葉(きくは)

「ではやはり、まだこのままの姿でいましょう。

女連れの方が、便利なこともあります。」

丈之介(じょうのすけ)は青く澄みきった空をながめた。

「そうか、では菊葉のままでいるか・・・」

さらに丈之介は腕組みをし、しばし考えていた。

菊葉というのは 桔梗(ききょう)が考えた名だな」

「はい」

「では、いつか真の姿に戻る時、わしの名から・・・。

菊之介(きくのすけ)というのは どうだ」

菊葉は嬉しそうに微笑んだ。

「はい、父上。必ず、必ず菊之介と名乗りましょう」

丈之介は また 子らに目を移した。

「わしは少し樹林川(じゅりんがわ)周辺を調べてみる。

雁崖小僧(がんぎこぞう)が急に敵にまわった訳など

探ってみようと思う」

「でも、おやじ。小屋は燃えてしまったぞ」

大悟は心配したが、丈之介は首を振った。

「わし一人くらいどうにでもなる。

それより兄弟協力してサライに行くがいい。途中、襲われんとも限らんぞ」

丈之介の言葉を それぞれが胸に刻んだ。

「では行くか、大悟菊葉

二人がうなずき歩きだそうとすると、

兵衛の首に また葵(あおい)が巻きついてきた。

「私も行く~~」

「くっつくなって 言ってんだろう。遊びじゃないんだぞ」

「いいって言うまで はなさないもん」

の すました顔。

大悟は あきれ顔だ。

兵衛も 葵殿には 形無しだな。」

「お・・・俺は兄だぞ。兄上と呼べ!」

「今日会って すぐに呼べるものか。それに、年も一つしか違わないし。

第一、葵殿も呼び捨てしてるじゃないか」

「それと これとは・・・!」

兵衛がむきになって大悟に食ってかかった。


巴の龍#21

ありがとうございました(^O^)/

新作駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ


SIRIUSの小箱」ってなあに?
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巴の龍#22へ続く
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