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アスタロト公爵#13ルキフェル第五軍団中将マルコシアス

※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。 

サーティはアスタロトの向かい側のソファーに座り、リジュの用意してくれたローズティーを飲んでいる。
 「サルガタナスもやってくれるわよね。
うまくいけば七十二人の魔王の一人を消せると思ったんじゃない?
そんな言葉に乗ってしまうマルコシアスもマルコシアスよ。」

 アスタロトはチラリとサーティを見たが、またマルコシアスに目を向けた。
 「それでその目、また見えるようになったんだな?」
 マルコシアスは、盗み見るようにサーティをうかがった。
 「見えるようにしてあげたわよ」
 「どうやって?」
 「どうやって?ちょっと目に触れただけ」
 「ちょっと目に触れただけだって?」
 アスタロトがマルコシアスに顔をむけると、マルコシアスは無言で頷いた。


 「まあ、驚くのも無理はないわね。今までただの一度も、自分の力を誰かに見せた事は無いもの。でも、今回はいいものを手に入れたわ」
 サーティはローズティーのカップを持ったまま、マルコシアスに笑いかけた。
 
アスタロトは、そんな二人を交互に見ていたが、思いついたように口を開いた。
 「ところで、何故ここに来た?」
 マルコシアスはおもむろに円いクリスタルを取り出すと、大理石のテーブルの上にそれを置いた。

 「ルシファー様からの伝言を預かってきた。アスタロト、このクリスタルに手を乗せろ。おまえだけにビジョンが見えるはずだ。」
 アスタロトはしばしためらっているようだったが、拒む事が出来るはずが無い。やがて観念したように大きく深呼吸すると、クリスタルに手を置いた。

*****

 アスタロトは、薄霧の中で一人立っていた。うっすらと人影が見える。
 「ルシファー・・・様?」
 アスタロトは即座に腰を落とし、頭を下げた。静かな足音が聞こえて、アスタロトの前に近づいて来た者の足元が見えた。
 
「顔を上げよ、アスタロト」
 言われるままにゆっくりと頭を上に向ける。
 「このビジョンは、わたしの作り上げた記憶の世界。わたしの本体は別にある。おまえは、わたしの記憶のビジョンを見ているのだ」

 大魔王ルシファーを、これほど近くに見たことがあっただろうか。
記憶の世界とわかっていても、アスタロトは身体の震えが止まらない。
 
「あのフェアリー、リジュといったかな?あれとは長いようだな。何年になる?」
 「は・・・はい。はっきりとは覚えていませんが、たぶん、十年か、二十年かと・・・」
 「ほう、おまえが同じ女とそんなに長く続くとは。だが、その二十年、リジュにわからないように、相変わらず遊んでいるようだな」
 「は・・・はぁ・・・」

 「おまえが天使だった時の事を覚えているぞ。美しく貞節な、ベールゼブブの妻であったな」
 アスタロトはまた頭を下げた。その頬の歪みは、顔の引きつりを予感させる。
 「まぁ、昔の事は良い。今では三大実力者の中で、最も敵対している相手だからな」

ありがとうございましたm(__)m

アスタロト公爵#14ルキフェル第五軍団中将マルコシアス


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#14へ続く
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#1最初から
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