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ある独白#25 最終回

「私は竜次さんには感情があったと思います。

大学時代の友人に会った時や、亡くなったあなたのおとうさん

葛城博士に年をとるマシンを作るよう頼んだこと、

されから最後にあなたに『死んでほしい』と言わせたこと・・・

感情があり、あなたを愛していたのだと思います。

それから亡くなった葛城博士は、あなたの将来を心配して

竜次さんをプレゼントしたのではないかしら」

私はバッグから小さなICチップを出した。

「これは竜次さんが亡くなった時、頭皮をはがして

中からひとついただいてきました。

きっと あなた方は一緒になることを望んでいると

思ったのです」

私はチップを耀子の墓のそばの、土の中に埋めた。

それから墓に手を合わせ一礼した。

ゆっくりと墓所を歩きながら、ふと足を止め

もう一度耀子の墓の方を振り返った。

もしかしたら、葛城博士はすべてを見越して

リュージをプログラムしたのではないか

使用人の時、弟の時、恋人の時、夫の時

そして耀子の死に際しての言葉まで

プログラミングされていたとしたら・・・。

私はそう思ったが、また向き直り歩きだした。

葛城博士、耀子博士、リュージ・・・・

もう、誰もこの世の人ではないのだ。

枯れ葉が足に巻きついてきた。

私は冷たい風の中をひたすら歩いた。

                   終わり

――2003年4月7日 アトム誕生に寄せて

          永遠の『鉄腕アトム』に捧ぐ―――  

2003年平成15年2月21日(金)著

子供の頃のいくつかの夢の中に21世紀まで生きたい

2003年アトム誕生まで生きたい

というのが あった。この二つは叶った。

アトムには 未だ出逢えてないが・・・。

ありがとうございました(ToT)/~~~

この作品は、2003年アトム誕生。今から18年前の作品である。
そして2021年、やはりアトムのようなロビタ型ロボットには出逢えていない。

ある独白#25我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ


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#1最初からは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177

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