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トンニャン過去編#75 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ファイヤーバードの巻」の次。「アリスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

二人がマンションに帰ると、すでにトンニャンは戻っており、ソファーで寝そべっていた。チェリーはためらいがちにトンニャンに近づくと、言いにくそうに口を開いた。
「あの・・・ブラックエンジェルが言ってた事なんだけど。彼女が天上界を追われた理由だけど・・・」
トンニャンは答えなかった。チェリーは自分で確かめるしかないと思った。
 
 
翌日アリスは何事もなかったように学校に出てきた。しかし、チェリーは欠席だった。
 
*****
 
「ブラックエンジェルが天上界を追われた理由?」
チェリーは婚約者のクビドのもとに来ていた。
「僕も、パワーズ(能天使)指揮官ラファエル様の報告しか聞いてないな」
「・・・それは、私も知ってるわ。天使長を誘惑した罪、よね?」
クビドも首をかしげる。
「そう、有名な話だよ。それとチェリーと何の関係があるんだ?」
「・・・おにいさまに、聞いてみようかしら?」
チェリーは思い余って兄を訪ねようかと思案し始めた。クビドは額にしわを寄せた。
「よした方がいいんじゃないか。相手は所詮、堕天使。我々とは生きている次元が違う。ただのやっかみかもしれないし。本気にして、そこまでする必要があるのか?」
チェリーは、クビドに言われて、兄を訪ねる事をやめた。
 
***
 
「アリス、元気だった?」
人間界に戻ったチェリーは、最初にコーラに聞いた。
「学校に来ていたし、元気だったわ。それより・・・」
コーラは、チェリーが座るソファーの隣に、自分も座った。
「チェリーこそ、今日急に休んでどうしたの?」
チェリーは天上界でのクビドとの会話を、コーラに話した。

「そう。でも・・・私もブラックエンジェルが何故あんな言い方をしたのか、よくわからないの。天使長を誘惑した罪で堕天使になった話は聞いてたわ。それから・・・」
「それから?」

コーラは少し口ごもった。
「・・・好きな人がいたみたい。いや、チラッとしか聞いた事がないから、よくわからないんだけど。・・・上級天使だったらしいわ」
「上級天使?」
チェリーは、再び頭をかかえるようにして、うつむいた。
「ケルビム(智天使)か、スローンズ(座天使)って事?まさか、ミカエル様クラスの、セラフィム(熾天使)って事はないわよね・・・」
 
*********
 
アリスの事件は、本筋の所で関わった人間達は、全て記憶をすりかえられていた。そして、あれ以来、あれ程しつこかったアリスとピエールが、トンニャン達に付きまとうのをピタリとやめた。
 
二〇〇七年平成十九年九月二日(日)朝五時(原文一九七七年八月)

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#75 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※ここでチェリーは、この時、婚約者だったクビドに言われて、兄に聞くのをやめました。しかし、20年以上の時を経た2006年頃のトンニャンシリーズでは、兄のもとを訪れます。
「太陽神アポロン」こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/neb5d305a4946

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次回トンニャン過去編#76 ピエール・オーギュスタンへ続く
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前回トンニャン過去編#74 アリス・ジョージャスはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
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