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トンニャン最終章#14 フェアリー  リジュ

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「サルガタナスの巻」の次、「リジュの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

ふわりとサーティの身体が浮かんだ。アスタロトが光に包まれたまま、サーティを抱き上げている。
「アスタロト、リジュを助けて・・・」
サーティは、安心したのか気を失った。
 
アスタロトは悲しい眼でリジュを見つめた。
 
 
アスタロト様、行ってください。私のことは、かまわずに。
リジュは、サーティが気を失って力なく握っていた手を、自ら離したのだ。
 
ありがとうございます、サーティ様。
いつも、私のような者を気にかけて下さって。
アスタロト様、どうか自分を責めないで。
私は、あなたに会えて幸せでした。いつも、あなたのそばにいられて、あなたに愛されて、それだけで、充分・・・・。
 
 
リジュが渦に飲まれていく様を、アスタロトはサーティを抱きかかえながら見送った。
雨に濡れたその頬には、雨とは別の熱いものが流れていた。
 
 
空の黒雲の中心が、雲を分けるように広がって、その中から異空間の裂け目が見えた。
 
「行け、アスタロト。この洪水は、やがておさまる。だが、それまでに、まだやらなければならないことがある。おまえのように魂を抜かれたような者が、ここにいるのは邪魔だ」
アスタロトは異空間の向こうに見える球体に眼を凝らした。
「あれは・・・」
 
見たことある。かつて、トンニャンとミカエルが出てきたのを見つけた球体。その直後、リジュがリオールを天使と間違えて、いやリオールの天使の波動に気づいて、部下がリオールを捕えてしまった。
「トンニャンの球体」
「知ってたの?アスタロト。私たちも知ったばっかり」
「休憩所というか。何らかの事態が起こった時、自由に使っていいと言われた」
「誰に言われたんだ?ウリエル」
「アシュラに」
ウリエルとガブリエルは、声をそろえて言った。
 
 *******
 
「何をしている。ベールゼブブ。」
ハエの魔王ベールゼブブは、遠くからアスタロト達を見ていた。
洪水が起こった時、アスタロトがサーティらと人間界に行くのを、ベールゼブブはひそかにつけて来ていた。
 
「太陽神アポロン。お・・・おまえこそ、何故ここに?」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#14 フェアリー  リジュ

※リジュが天使と間違えてリオールを捕まえたシーンはこちらから
アスタロト公爵編「悪魔の君主 アスタロト公爵」より

https://note.com/mizukiasuka/n/n40ff2414da00?magazine_key=mf04f309d9dfc

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#15 リジュへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n1252641c3605

前回トンニャン最終章#13 リジュはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n0ec3197ab040

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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